ひっつきむし(独断と偏見による)

だいたいゲームの感想です

「鳥類弁護士の事件簿」の感想

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お久しぶりです。1年ぶりの更新ですね。この1年何をしていたかというと、あんさんぶるスターズにこれまた久しぶりに復帰して、過去のシナリオを読んでその感想を書き付けるのに忙しかったりしていました(公開の予定はありません)。

ブログを更新しなかったのはそのせいでもあるし、単にあんまりやる気が出なかったからでもあります。つまりいつも通りですね。ブログを持つこと自体はもう15年ほど続けているのですが、特にやる気も目的もないので本当に気分次第だなあ。

 

さて、今回はこのたびSwitchに移植された「鳥類弁護士の事件簿」をプレイしました。こちらは1848年のフランス・パリを舞台としたアドベンチャーゲームで、プレイヤーは主人公の弁護士、ジェイジェイ・ファルコンとして法廷バトルを演じることとなります。プレイ時間は全エンディング回収で5時間程度。

推理ゲームとしてはしっかり調べて回ればまず失敗しない程度の難易度なのですが、失敗しても物語がそのまま続く(依頼人が退場したり、最終章の手前では大きくルートが分岐したり)のがADVとしては特徴ですね。

そうした目立つ要素だけでなく、いろいろと細かな要素でもテキストにしっかりと差分が用意されているので、わざと失敗したり行動の順番を変えたり、いろいろ試してみるのも面白そうです。

個人的にこういった推理ゲームでは、結論に直接関係する証拠を間を飛ばして選択してしまうミスをよくやるのですが、このゲームでは「順番が違う」という台詞が出て驚きました。

 

グラフィックなどの部分では、舞台である19世紀フランスの画家、J・J・グランヴィルの絵画と、同じく19世紀フランスの音楽家、サン・サーンスの音楽を使用しているのが目を惹くところですね。物語としても当時のある事件を大きく扱った時代劇の面が大きく、そのあたりが好きな方にはグッとくるかもしれません。

しかし詳しくなくてもしっかり楽しめる作品になっているのがよいところ。私はまさに全く無知識な人間なのですが、短い尺にぎゅっと詰め込まれた濃いキャラクターたちや波乱万丈な展開、ユーモアたっぷりなテキストでとても楽しめました。

海外のゲームなのですが、日本語ローカライズがとても丁寧で、言われなければ気付かなかったかも。台詞の言い回しが生き生きしていて面白いですし、おそらく原語のことば遊びなども丁寧に拾っていると見え、元の文章も見てみたくなります。

 

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登場人物では特に、主人公・ファルコンの助手のスパロウソンくんがとても好きです。1章ではなにかと嘴を突っ込んでは面白いことを言うだけのキャラ(これが実際笑えるのですが)のように見えるのですが、物語が進んでいくといろいろな面が見え、どんどん愛おしくなってくるキャラクター。

序盤のファルコンさんをいちいち茶化したり空気を読まずに発言したりの振る舞いすら、話が進んでシリアスになってくるとしんみり要素として効いてきたりするのがよかったです。いい出汁でてる。

プレイしているとスパロウソンくんはファルコンさんが大好きなんだなあと思うことしきりだったのですが、他にもファルコンさんの旧友であるココリコ検事とのふたりの関係であるとか、登場人物どうしの関係性や物語がとても魅力的で面白かったです。

敵役・悪役として出てくるキャラクターたちも、ただ単に対立するとか悪人であるということがなく、いい意味で複雑な人物造形で楽しめました。ボーモーも最高ですし、フォンテーヌがお気に入り。

 

プレイ時間に対してちょっとお高めではありますが、好きそうだと思ったら買って間違いのないゲームだと思います。オススメ。

「グノーシア」の感想

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Switch版をプレイしました。もはや言わずと知れた名作ですね。やろうやろうと思っていたのをようやくやりました。

 

SF人狼系ループADVとでも言えばいいのでしょうか。ベースは人狼ゲームですが、いろいろとビデオゲーム的な概念が組み込まれていたり、どんな展開でも主人公が死ねばラウンド終了だったりとアレンジされた部分も多くあります。

1プレイは長くて15分程度とサクサク気軽で、私は130ループほどでクリアできました。

 

130回と言うとかなり多く感じられますが、シンプルに何度でも繰り返し遊べる面白さ、個性的で魅力的なキャラクターたち、縦軸のストーリーの吸引力、豊富なサブイベントや各キャラ特定の役職での演出などの存在で飽きが来にくくよかったです。

また主人公の育成の概念があり、ループごとに他キャラの信用を勝ち取りやすくなったり狙われにくくなったりする各ステータスの成長や、ゲームを有利に進めるスキルの習得で後半は良くも悪くもどんどん楽になっていくので、飽きてきたとしても最後まで突っ走ってほしいところです。

 

ゲームに参加するキャラクターやグノーシア(人狼)の数、各役職のオンオフ、主人公の役職は少し進めると自由に切り替えられるようになるのですが、いろいろな組み合わせで遊ぶことでストーリーが展開していくようになっているのもよかったです。

そのあたりの自由度がとにかく高い一方で、ストーリーを進めるためのイベントが出る(出やすい)組み合わせを提案してくれる機能があったり、特定のキャラクターを生き残らせたり吊らないと進まないイベントではしっかりヒントを出してくれるので、設定で迷う場面はほぼないのがグッド(ヒントを実行できるかどうかは普通に実力と運プラス育成具合ですが)。

 

人狼系ゲームとしてだけでも十分面白いのですが、やはり語りたいのはストーリーやキャラクターの部分です。

そのあたりはネタバレなので追記から。

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「DEATH‘S DOOR」の感想

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「DEATH’S  DOOR」をプレイしました。

こちらは見下ろし型3Dアクションゲームで、シンプルな斬撃・射撃・回避の動作でプレイする王道ゼルダライク。ですが、HPはいかなる攻撃でも4回(強化によって最大6回)当たればゲームオーバーと厳しめな設定になっています。

死にやすいですが、各ダンジョンはチェックポイントから死んだ場所までアクセスしやすい構造になっており(イベント戦闘では即リトライ可能なものも)、ロードはサクサク、デスペナルティもないので、気軽に何回も死んでやり直せるつくりです。快適ノーストレス。

ひとつひとつの操作や求められる対象はごくシンプルなのですが、HPの仕様にワラワラいる雑魚だのいやらしい感じの中ボスだのが相まってかなり死ねます。それぞれは簡単なことでも、ミスなく素早く捌いていかなければいけないのが絶妙な難易度。

自分のミスも対処の仕方も基本的にわかりやすいので、こうすればできるはず、次は絶対勝つ! という気分になり、また何度かやっていれば実際にできるので、中毒性があって楽しかったです。

 

そうした戦闘の楽しさだけでも十分推せるゲームなのですが、他の要素もたいへんよい作品です。

主人公はリーパー協会(死神の会社のようなもの)で働く小さな社畜カラスで、ある日任務で狩った大物の魂を誰かに横取りされてしまい、それをきっかけに各地を巡る冒険に出ることに……といったストーリー。

プレイボリュームは100%クリアでも15時間程度で、物語も量的には軽めですが、生と死をめぐる物語や各キャラクターの価値観にはそのコンパクトさにおさまらないものがあり、終盤の展開にはいろいろと考えてしまいました。ローカライズの質もいい感じ。

道理として正しいのは主人公サイドであって、それに間違いはないのだろうと思うのですが、それに立ちはだかるラスボスや、その部下である人物がキャラクターとしてはとても好きです。感情としてはそっちに味方したくなってしまうくらい。

 

デフォルメのきいたかわいらしくユーモラスなキャラクターデザインに、あたたかく絵本のような質感でありながらどこか寂しさも漂い、アクセントにネオンカラーの効いたジオラマ調の背景グラフィックと視覚的にもとても好みでよかったです。

音楽はピアノメインのものが印象的で(管楽器からエレキギターまで編成はさまざまですが)、フィールドではおしゃれで落ち着いたものが多い一方、民族調のものがあったり、ボス戦などではしっかり勇壮でかっこいい曲もあり、どれも魅力的でした。ボス戦や一部のステージでは攻撃やギミックの効果音のタイミングが音楽に合わせてあったりします。サントラもサブスクにあってうれしい。

特に最後から二番めのボス(裏ボス除く)ではシンプルでスタイリッシュな画面とピアノ主役の切ないBGMのマッチした演出がすばらしく、今まで遊んだゲームでもトップクラスに印象的かつ好きなボス戦になりました。

 

手軽に遊べてムキになれ、世界観や音楽も質が高くてよいゲームですのでおすすめです。人を選ぶ要素はなく、かなり万人向け(アクション苦手すぎるとキツいかも? という意味)と思います。パッと見で好きそうだと思ったなら買ってよいのでは。

「テイルズオブアライズ」の感想

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テイルズオブアライズをプレイしました。ごはんを楽しむシオンさん大好きクラブ。据え置きテイルズ5年ぶりの新作なんですね。ベルセリアもけっこう昔のゲームだな。

個人的にはテイルズは半分もやってないかなというくらいの付き合いでもあり、とはいえ好きなタイトルには思い入れが強かったりな感じなのですが(特にイノセンスは初めて自分で買ったRPGだったりしました)、今回かなり楽しみにしていました。世間が盛り上がってるのを見ると、なんだかテンション上がっちゃいますよね。

 

ストーリー的にもシステム的にも、歴代作品のいいところやコアの部分を抽出して進化させた、外さない王道でいかにも「テイルズ最新作」なゲームだったかなと思います。ほんと二つの世界好きね(オタクも好きなのでHAPPY)。

戦闘に関しては下手くそなのであまり言えることがないのですが、ステップなどを廃止してグレイセス以前にベースを回帰させたような部分もありつつ、最近の作品のものや新規なシステムを取り入れていて、そういう意味でも面白かったです。ちょっと私には難しめでしたが、そのぶんやりごたえも十分でした。ガナベルトはきらい。

ブーストストライクのテンポ感のよさ、かっこよさは今作でも特によかった部分のひとつなので、もっと強敵相手にもバンバン使えたり、トドメの演出要素ならそれはそれで全ボスにしっかり用意してあったりしたらもっとよかったなあ。ブーストのギミック自体ももっと活かせていると感じられる要請頻度やダメージになっていれば嬉しかったです。

 

あとシステム的にはファストトラベルが序盤からほぼどこにでもサクサク使えるのが楽でしたし、釣りがけっこう遊びがいのある作りだったり、野営もスキット大盛りでこまめにやっておく楽しみがあったのがよかったですね。

野営は回復的にもできるタイミングでやらないとキツいので、うまいことちゃんとやらせる作りになっていた感じ。キャラ別のイベントが見たすぎて逆にやらなくていいくらい野営してしまいましたが。

フィールド上でのショートチャットや戦闘後掛け合いも豊富で、汎用のものも解禁のタイミングがストーリーに沿って細かく設定されているので、終盤〜クリア後まで遊んでも見たことのないものが出てきて楽しかったです。メンバーが仲良くなっていくのも肌で感じられましたし。ほんとあれらも見返せるようにしてほしい。みんなたちがかわいいので。カラグリやっほーい好き(パスカルさん推し)。

 

ストーリーは上述したようにいかにもテイルズ的な要素を大いに含み、かつ王道な仕上がりになっていて、展開的にはベタとは言えますが、やっぱり王道はよいものだから王道なんですよね。物足りない部分がないとは言えないですが、終えてみて満足できるお話でした。

ただひねりなんていらんと言うよりは、前作が邪道・アンチ王道の良作だったのもあり、最近の作品ではビターな結末が続いていたのもあり、余計にそういう気持ちになるところでした。

かつ主人公らの主張やメッセージには今らしさやシリーズの積み上げてきたものを感じさせる部分もあって、よい「テイルズ最新作」だったなと思います。特にラストバトルあたりのシオンと世界に関してのアルフェンの考え方は今だから言える感じがあって好きでした。

 

近年のテイルズには珍しく恋愛激推しでしたが、個人的には全員カップリング化OK派ですし(連載漫画などだとまた別ですが)、嬉しかったです萌えましたとしか言えない。この辺は好みですよね。男同士、女同士の関係性もしっかりできていましたし。

カップリング(×カップル)ごとに雰囲気や味の濃さをしっかり変えているのはとてもよかったです。同じようなラブラブカップルばっかでも困るみたいなところはあるので。

 

以下ネタバレありパーティキャラ語り。

 

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「カリギュラ2」の感想

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カリギュラ2をプレイしました。プラチナも取りましたのアピール。イェイ。

前作というかOD版も先日プレイしたのですが、どちらも遊んだ感想としては、2はあらゆる面において前作を魅力はあるけど微妙と感じた人にこそ遊んでほしいゲームだなという感じ。ODを遊んでいて不満に思った点はほぼ全て改良されていると言ってよいです。ファストトラベルだけなんか劣化してますが。

 

前作と同じ世界、5年後の設定ですが、今作と関係ある要素は作中説明が入るので前作のプレイが必須ということはないです。むしろ予習して挑むなら小説版まで読まないといまいち唐突に感じるかも(前作→小説版→2の時系列なので)。小説版は前作のフォローとして文句なしに面白い作品なのでオススメです。

小説版は個人的にすごく好きなんですよね。ゲームを遊んでいてストーリーに対して不満に思った部分が丁寧にカバーされていて、こんなん最初から本編でやれとつい思ったくらい。

その小説版の作者さん(関涼子さん)が今作ではシナリオで参加しておられて、同じ味がするなーという感じでした。特に茉莉絵関係はやはりと言うべきか素晴らしかったですね。なんかたぶん関さんが好きなんだと思う、私。

 

以下ネタバレありです。だいたいキャラごとにざっくり。

 

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「ウムランギ ジェネレーション」の感想

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破滅が迫る
クソみたいな未来を
好き勝手に撮影しよう


ウムランギジェネレーションは、クソみたいな未来で写真を撮るゲームだ。

あなたはニュージーランドのタウランガ市にあるタウランガ運輸で写真配達人として働きながら、危機差し迫る日々を過ごすことになる。
頭上を戦闘機が飛び、敵が日常を侵略し、銃声が飛び交い、兵士は傷つき、巨大ロボットが出動し、人類が無駄な抵抗を繰り返す。

ただ、人々の生活は変わらない。
仕事をし、踊り、電車に乗り、金持ちを恨み、貧乏人を蔑み、政府に文句を言い、鎮圧され…
そんな人々が過ごす様々なエリアで様々な対象を撮影し、あなたはお金をもらって生きていく。
日常でも戦場でも、いつも一緒にいてくれる友人たちとそこそこ楽しく、そこそこつらい、このクソみたいな未来を生きていく。

ウムランギジェネレーション スペシャルエディション ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)より

Switchにて「ウムランギ ジェネレーション」をプレイしました。

ゲームの紹介としては上に引用した公式のものを読んでもらえればそれで、という感じの作品。終末の迫る世界で、写真配達人として求められるお題(フォトバウンティと呼称される)を撮影し、そのステージでのフォトバウンティをコンプリートすることで次のステージへ進行していきます。やること自体はごくシンプル。「フォトモードのゲーム化」なんて紹介されているみたいです。

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Switchのジャイロを利用してカメラを動かしたり傾けたりできるのが本当のカメラみたいで楽しいところ。レンズは望遠や広角など、さまざまなものが用意されており、シャッターを押した後には露出やコントラスト、色相の変化などの効果を加えて編集ができます。レンズと効果はゲームを進めたりやり込み要素をこなすことで入手できます。

加えてSwitch版では撮った写真をSwitchのアルバムに直接保存することができ、Twitterなどへのシェアも簡単にできます。これが地味ながら痒いところに手が届くシステムで非常によかった。撮った写真をさらにアルバム開いてスクショして……とかだとひと手間が面倒なんですよね。

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「ウムランギ(Umurangi)」とはマオリ語で「赤い空」の意味なんだそうで、作中に出てくる壁の落書きのことばや図柄、置いてあるアイテムなど、マオリの文化がフィーチャーされているみたいです。全く詳しくないのでわかったらもっと楽しめただろうな、という感じ。ニュージーランドのことをわかる人の感想が見てみたいですね。

世界観はサイバーで近未来で終末でニュージランドでマオリサブカルで……なごちゃ混ぜ感が楽しく、ちょっとレトロな感じのポリゴンで表現された退廃的な風景は見ているだけでワクワクしました。流血や建造物の崩壊のような表現も含まれるのですが、フォトリアルなグラフィックでないだけにドキッとするような場面も。

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ゲーム中、台詞やことばのやりとりはありませんが、新聞が落ちていたり、市民の思いが壁に落書きされていたりと、状況を窺い知ることはできます。そういう読み込みが好きな人にはよいですよね。私は英語が全然できないのでぽちぽち翻訳しながらプレイしましたが……。

ことばはなくとも、いつも一緒の4人(3人と1羽?)の友達たちには愛着が湧いてきますし、終わっていく世界での日常を見つめるのは楽しかったり切なかったりして、プレイしていて気持ちのこもるゲームです。音楽もいい感じ。

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お題には小さなオブジェクトや撮影場所・アングルの限られるものもかなり含まれており、やり込み要素としてステージ内に配置されているフィルムを探したりもするので、遊んでいると世界のすみずみまで眺めることになるのがよい設計だと思いました。画面暗めなのもあり、人によっては3D酔いしやすいようですが(私はめちゃくちゃした)。

ひととおりクリアはしたのですが、(3D酔いのあまり満足に遊びきれていない部分もあるし)もっと写真を撮りたいと思えるようなゲームでした。短めなのは短めですが、ノーマルモードの他に写真撮影に特化したモードやタイムアタックモードもあり、まだまだ遊びまくれそうです。

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気に入った写真を何枚か貼ってみましたの回でした。というか写真貼りたかっただけ。

「アンジェリーク ルミナライズ」の感想③(シュリ・ヴァージル・ノア)

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全攻略対象クリアしました。ということで、今回は残りのシュリ、ヴァージル、ノアの感想です。

トゥルーエンドというか最終エンドがあるタイプのゲームでもないので(女王エンドはありますが最初に見てしまったしな……)、全クリに際して言いたいことというのは特にないのですが、クオリティにブレのない作品だったなと思います。

もちろん好みで言えばどのルートが気に入ったなどはありますが、攻略対象が9人いてあれだけのテキストがあって複数ライターで、これは優れていたけどこれはいまいち、みたいな感想が浮かばないのがよかったですね。

どれも女王試験や守護聖の設定をしっかり土台にしたシナリオになっているのもよかったです。別にこういう設定じゃなくてもよくない? みたいな話がないんですよね。女王試験における守護聖との恋だからこそのストーリーで楽しめました。

いわゆる糖度は低めの作品だったと思いますが、乙女ゲー久しぶり勢的にはちょうどよかったですかね。こういう点は良し悪しの話ではないですが。全体を通してとりあえずキスにしろその先にしろ、しっかり同意を取ってからということになっているのは今っぽいですよね。同意は大事だからね。今の乙女ゲーってわりとこういう感じなんでしょうか? そのへんヒロインのアンジュ本人もしっかり自衛できる人なのはたいへん好印象でした。

面倒だった点はイベントが膨大すぎて普通にやってるだけだと全然回収できなかったところですかね。イベントがいっぱいあるのは間違いなくいいところなんですが、視察を回収しようとすると引き伸ばさないといけないのと、帰省を回収しようとすると周回せざるを得ないのは食い合わせが悪かったように思います。イベント全回収はかなり根気が要りそう。

 

以下ネタバレありです。

 

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「アンジェリーク ルミナライズ」の感想②(ミラン・ユエ・ロレンツォ)

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のんびり進めております、アンジェリークルミナライズ。今回はミラン、ユエ、ロレンツォを攻略してみました。以下ネタバレ。

 

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「アンジェリーク ルミナライズ」の感想①(フェリクス・ゼノ・カナタ)

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アンジェリークルミナライズをやっています。絵柄がとても綺麗で全体的なクオリティも高く、テキストも良質で楽しんでいます。

新作乙女ゲームをやるのは数年ぶり、アンジェリークどころかルビパ作品初めてのヨチヨチぶりなので、システムの評価などはしづらいのですが、育成も楽しくできていると思います。むしろガンガンやりすぎてペース調整ミスってる気がする。

 

本作は主人公が25歳と、恋愛ゲームとしてはやや年齢高めの部類だと思いますが、しっかりめで現代らしい価値観の女性で好感が持てます。けっこうズバズバ言うのが好き。ツッコミ役としても面白いですし、見ていていやそれおかしくない? とかセクハラじゃない? みたいなところにちゃんと疑問を持ってくれるので、信頼できる価値観のゲームだなと思っています。ドン引きしてるシーンのスクショがわりとある。

とりあえず最初はフェリクス、ゼノ、カナタを攻略したので感想を書きました。以下ネタバレです。

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「In Other Waters」感想

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アドベンチャーゲーム「In Other Waters」をプレイしました。実質的な主人公は海洋生物学者の女性で、自分を呼び出しながら失踪したかつての仕事仲間を見つけ、また彼女にまつわる真実を知るため、地球から遠く離れた星の海中を探索・調査することになります。

ちなみに舞台となる星、「グリーゼ667Cc」は実在の太陽系外惑星で、実際に生命が存在する可能性が高いとされているのだそう。地球外惑星の探査がビジネスとして当たり前になっているような時代が舞台のようで、主人公エラリー・ヴァスもそのような会社のひとつに属していました。

プレイヤーは彼女の着用するダイビングスーツ(の背面についているユニット)に搭載されたAIとして、周囲をスキャンしたり生物のサンプルを取ったりしながら広大な海の中で彼女を導いていきます。台詞はなしですが、はい・いいえのコミュニケーションはあります。

 

基本的なプレイ画面は最初に貼ったスクリーンショットがすべての、おしゃれでシンプルと言うよりはもはやミニマルなデザイン。実際の風景ではなく探査情報ですね。海中探索のイメージとはもはや真逆のグラフィックが、プレイヤーがAIである設定に沿っているのもオツ。

生物や植物も点やアイコンで示されるのみで一見臨場感に欠けるようですが、落ち着いた音楽と環境音の効果が高く、没入感は高かったです。イヤホン推奨かな。深度など、環境の変化に合わせて画面の色合いなどが変わったりするのもよい演出でした。

ゲームとしてはスキャンして進んでサンプル取って必要があればアイテムを使って、の繰り返しで、そこは特に工夫の余地などはありません。ライフであるエネルギーや酸素のやりくりも基本的には余裕があります。

 

魅力はデザインとサウンドもそうですが、文章による演出がとてもよいです。実質ノベルゲームに近いのかな。スキャンするひとつひとつのポイントや動植物にエラリーによる解説の文章が表示され(画面一番右)、彼女とともに調査したグリーゼ667Ccの動植物たちについてもデータベースに調査結果や考察が詳しくまとめられます。

動植物の設定は独特なものが多く、 捕食や共存、環境への適応の仕方など生態系が綿密に設定されています。それぞれエラリーによるスケッチもあり、海中をくまなく探査してこのデータベースを埋めていくのがやりこみ要素となっているので、架空の生態系が好きな人にもおすすめできるでしょう。

 

視覚的な要素がはっきりと示されるのはこのスケッチのみで、それも探索中には見ることができないので、基本的には解説やエラリーの台詞を読んで、風景や生き物の姿を想像しながらプレイしていくことになります。

特に風景描写はいかにも想像力を喚起させるような詩的な文章で、単に小説的だと言うよりは、抽象的なセットであったり、小道具をあまり使わないような演劇を観ているような気分でした。

 

たったこれだけの画面なのに、海中での広さや孤独さ、ときには恐ろしさ、そしてパートナーとなるエラリーという人物、彼女らとこの星の物語について、ありありと感じさせるような作品でした。

プレイヤーは画面の探査情報を通し、記録を通し、エラリーの主観を通して、この星とそこにある物語について、間接的にしか知ることができません。でもそれが最大の魅力なのですよね。あえて間接的に演出すること、想像する/させることの力ってすごいし好きです。素朴な感想ですが。

近年のゲームと言えば、リアルだったり豪華なグラフィックが売りを通り越して当たり前になりつつあるような感じもしますが、そんな中だからこそこういうゲームも輝くのかもな、などとも思いました。今風な雰囲気ですが、たぶんものとしてはわりと大昔のゲームにも近いんですよね。

 

プレイ時間は短め(一旦のクリアで5時間かからない程度)ですが、進行はゆっくりとしたもので落ち着いた雰囲気なので、リラックスしてじっくりプレイするのがいいと思います。というかサクサクやろうとするとイラつく系。雰囲気を楽しみましょう。

私はSwitch版を購入したのですが、字がとても小さく、Switchの解像度ではTVモードでも読みにくかったので、環境があればPCで遊ぶのがよいと思います(もともとSteamゲーです)。

 

以下ネタバレ。

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