ひっつきむし(独断と偏見による)

だいたいゲームの感想です

「鳥類弁護士の事件簿」の感想

f:id:hinoyui:20221221225818p:image

お久しぶりです。1年ぶりの更新ですね。この1年何をしていたかというと、あんさんぶるスターズにこれまた久しぶりに復帰して、過去のシナリオを読んでその感想を書き付けるのに忙しかったりしていました(公開の予定はありません)。

ブログを更新しなかったのはそのせいでもあるし、単にあんまりやる気が出なかったからでもあります。つまりいつも通りですね。ブログを持つこと自体はもう15年ほど続けているのですが、特にやる気も目的もないので本当に気分次第だなあ。

 

さて、今回はこのたびSwitchに移植された「鳥類弁護士の事件簿」をプレイしました。こちらは1848年のフランス・パリを舞台としたアドベンチャーゲームで、プレイヤーは主人公の弁護士、ジェイジェイ・ファルコンとして法廷バトルを演じることとなります。プレイ時間は全エンディング回収で5時間程度。

推理ゲームとしてはしっかり調べて回ればまず失敗しない程度の難易度なのですが、失敗しても物語がそのまま続く(依頼人が退場したり、最終章の手前では大きくルートが分岐したり)のがADVとしては特徴ですね。

そうした目立つ要素だけでなく、いろいろと細かな要素でもテキストにしっかりと差分が用意されているので、わざと失敗したり行動の順番を変えたり、いろいろ試してみるのも面白そうです。

個人的にこういった推理ゲームでは、結論に直接関係する証拠を間を飛ばして選択してしまうミスをよくやるのですが、このゲームでは「順番が違う」という台詞が出て驚きました。

 

グラフィックなどの部分では、舞台である19世紀フランスの画家、J・J・グランヴィルの絵画と、同じく19世紀フランスの音楽家、サン・サーンスの音楽を使用しているのが目を惹くところですね。物語としても当時のある事件を大きく扱った時代劇の面が大きく、そのあたりが好きな方にはグッとくるかもしれません。

しかし詳しくなくてもしっかり楽しめる作品になっているのがよいところ。私はまさに全く無知識な人間なのですが、短い尺にぎゅっと詰め込まれた濃いキャラクターたちや波乱万丈な展開、ユーモアたっぷりなテキストでとても楽しめました。

海外のゲームなのですが、日本語ローカライズがとても丁寧で、言われなければ気付かなかったかも。台詞の言い回しが生き生きしていて面白いですし、おそらく原語のことば遊びなども丁寧に拾っていると見え、元の文章も見てみたくなります。

 

f:id:hinoyui:20221221225951j:image

登場人物では特に、主人公・ファルコンの助手のスパロウソンくんがとても好きです。1章ではなにかと嘴を突っ込んでは面白いことを言うだけのキャラ(これが実際笑えるのですが)のように見えるのですが、物語が進んでいくといろいろな面が見え、どんどん愛おしくなってくるキャラクター。

序盤のファルコンさんをいちいち茶化したり空気を読まずに発言したりの振る舞いすら、話が進んでシリアスになってくるとしんみり要素として効いてきたりするのがよかったです。いい出汁でてる。

プレイしているとスパロウソンくんはファルコンさんが大好きなんだなあと思うことしきりだったのですが、他にもファルコンさんの旧友であるココリコ検事とのふたりの関係であるとか、登場人物どうしの関係性や物語がとても魅力的で面白かったです。

敵役・悪役として出てくるキャラクターたちも、ただ単に対立するとか悪人であるということがなく、いい意味で複雑な人物造形で楽しめました。ボーモーも最高ですし、フォンテーヌがお気に入り。

 

プレイ時間に対してちょっとお高めではありますが、好きそうだと思ったら買って間違いのないゲームだと思います。オススメ。