ひっつきむし(独断と偏見による)

だいたいゲームの感想です

「NieR:Automata Ver1.1a」第6話の感想

人類に栄光あれ(あいさつ)。6話も無事放送されまして、ニーアオートマタVer1.1aが毎週放送される世界って素晴らしいなと骨身にしみております。一生終わらないでくれ。それはそれでイヤかも。ほのぼのスピンオフ4コマなら一生続いてもよい。

さて第6話はリリィの口から語られる彼女の過去、11941年の真珠湾降下作戦の物語。舞台版キャストさんがたくさんが出演されていてとってもワクワクしました! 今回は設定上女性のみですが、男性キャストもどっかで呼んでくれてたら嬉しいですね。

 

アニメ版の感想記事にけっこうアクセスがあるようで、アニメからの方にも見ていただいているのかなと思うので、一応今回語られた真珠湾降下作戦と舞台「ヨルハ」について軽く書いておこうかな。

ゲーム/アニメ本編は11945年の出来事で、今回はその4年前の11941年のお話であり、ゲームに登場するA2の過去のお話でもあります。

現実の出来事としては、ニーアオートマタ発表よりも前の2014年にこの真珠湾降下作戦を描く舞台「ヨルハ」が上演されており、さらにその再演、2018年のリメイク作である「音楽劇ヨルハ」、2019年/2020年の男性版(「ヨルハ1.3a」/「ヨルハ1.3aa」)があるんですね。

 

……といっぱいあり、さらにこれらのバージョンの中でもストーリーの展開や登場人物など細かい差異があったりするのですが、とりあえずアニメにつながる歴史として手に取りやすく理解しやすいのは漫画版の「ヨルハ 真珠湾降下作戦記録」かなと思います。アニメ版では尺の都合でさらに改変・カットされている部分も多いですが。

とはいえ漫画版はまだ連載中なので、結末まですぐ観たい方はBlu-rayが販売中の男性版1.3aaがオススメです。音楽劇は当時の販売の形態もあって新品はもう買えないかと……この前までアマプラにあったのですが……。なんでアマプラ終わっちゃったんですか!? 新規に観てほしくないんですか!?

とそんな感じだと思います。アニメを機に音楽劇ヨルハと少年ヨルハの再販……してください!

 

追記から箇条書き感想です。

 

アバン

・「夢でも見ていたんですか?」、後の2Bとリリィのやりとりを見て振り返るとなかなか面白い発言ですね。9Sにとってはアンドロイドも夢を見るものなんだと思います。

 

Aパート

・謎のレーダー何? 日常の機械生命体対策的な感じなんでしょうか。それともどこか目的地があって移動しているのか。

 原作ゲームだとすべての出来事がノンストップで、日常生活的な雰囲気はほぼないので、こういう何も起こらない時間って新鮮みがありますね。戦いのための存在ではあるかもしれませんが、彼女たちにもなんでもない日ぐらいある。

 ゲームではアネモネとこういった交流をする場面というのもあまりないので、アニメではリリィとの作戦会議や日常的なやりとり、ちょっと緩んだ雰囲気も描いてくれるのがすごくいいですね。なんか仲良くなってきたなー。

 

・しれっとナインズ呼びをしていることにしようとしてくる9Sくんときっぱり否定する2Bちゃん、良い。9Sくんが2Bちゃんに小賢しい子犬をやっていると嬉しいので。9Sを見送る2Bが微笑んでいるのもいいですね。かわいい子犬なんですよ。

 

・「不思議なんですが~」以降の映像の空気感好きですね。リアルな風と光を感じる。

 

・どうしてヨルハ部隊とレジスタンスは今まで連携してこなかったんですか、当然の疑問ではありますが、デリカシーや配慮などというものは9Sの辞書には存在しないのです。2Bちゃんの辞書にはあります。2Bちゃんは大人なので。

 9Sのよくないのはこういう場面でわざとすっとぼけている可能性があるところです(言動から何かを察する観察眼にはむしろ長けているので)。たとえ命がかかろうと自分の知りたい気持ちが最優先だからこいつは……。もちろんここでそうだとは言い切れませんが。

 

・9Sの指差し→反転のカット、動きがメリハリ効いていてかわいいですね。かわいい動きの推しで助かる命。言っていることはあまりかわいくない。配慮がないので。

 

・「私たちは夢を見るか?」「見ない」。

 夢は生物の脳に起こる現象ですから、そういう意味ではアンドロイドには夢を見ようがないのかも。ですが、内容は正確な記憶の再生だったとしても、寝ている間にそれが勝手に見えるという点では夢を見ていたのは間違いないはずです。なんかの小説にも夢を見ている描写はあった気がするし。

 

・リリィたちレジスタンスと旧世代のヨルハ部隊の共に戦った過去。あらすじに関しては特に変わったところはないですね。登場人物は音楽劇/漫画版を採用(真珠湾降下作戦は「ヨルハ」初演・再演、男性版などの各バージョンで登場人物が異なります)。変更点に関しては尺の都合で端折られた感が大きいかも。

 

・CV諏訪さんの二号! 舞台版ではむしろ石川さんが二号を演じていたりしたので、逆にものすごく新鮮ですね。面白い。かわいい声とかっこいい声の振り幅がすごい。

 アネモネ以外は連載中の漫画版のデザインになっていますが、やっぱりA2って髪が伸びてあれなんですね!? そこってどうなっているのかずっと地味に疑問だったのですが、やはり髪が伸びるのか……。人間の模倣への執念の為せる業なのでしょうか。9Sくんって髪を切り揃える必要が出る前に死んでそうでかわいいですね。

 

・舞台版キャストの出演は四号、十六号、二十一号、ローズ、ダリア、フタバは音楽劇の同役から、ヨツバは音楽劇の違う役(タームα)から、残りは少女ヨルハからですね。

 4年以上経ってのことですが続投の方々はそのまんまな感じで嬉しかったですし、違う役を演じてくれるのも面白かったです。こういうのはなんぼあってもいいんじゃ。

 

・そうです!(ビシィ)のかわいさよ。これがああなるというかあれの過去がこれってけっこう振り返ると恥ずかしいのかもしれない。どうなんですか?

 

・「いつかリリィが家族を率いるときが来たら、そのときのお前は、今の私と同じ選択をするよ」。今のリリィがやはり心情的には信用できないと思いながらも二人を受け入れてくれたのは、このことばがあったからなのかなー。リーダーとして自分の気持ちよりも優先すべきもの、選ぶべきこと。

 

・一緒に行軍していくうちに仲を深めていく様子、ダイジェストですが良いですね。まるで知らんエピソードが盛り込まれているのがツボ。何そのヘビ……。

 各キャラの設定はカットされている部分がほとんどですが、アネモネの一匹狼感がなくなっているのはちょっと面白いですね。普通に輪の中にいてクールキャラなだけみたいになっている。

 

・漫画版だとシナリオは1.3aベースなのでリリィと仲がいいのは十六号になっているのですが、二十一号が声をかける流れになっているのは音楽劇な感じですね。好きなんですよね、音楽劇の二十一号とリリィの姉妹感。

 しかしガーベラのキャラ付けがなんか違って面白いですね。ぶっきらぼう系みたいになっている。なんで?

 

・子供みたいで嫌いな小さな銃。「そのままでいい」と言ってもらえることのほうがむしろ苦しいやつですよね、こういうのは……。

 舞台版だとリリィは戦うための能力を得て物理的にも強くなる流れになっていますが、アニメ版ではそういった描写がないので、今ローズの銃で戦えているのは何か理屈があるのかないのか。

 もしパワーが足りないなどのどうしようもない理由で小さな銃しか持てなかったのではなくて、ただ持たせてもらえなかっただけならばリリィにとってはとてもつらいことだと思います。でも非戦闘型の設定ではあるし本当に諸々どうなんだろうな……。やっぱりウイルスの影響でパワーに目覚めたのかしら?

 

 

Bパート

・ハッキングを試みる二十一号に流れ込むリリィの過去。だいたいわかるかとは思いますが、リリィは戦場において指揮官の相手をするために非公式に製造されたモデルであり、ゆえに非戦闘型で、虐待を受けるリリィを見過ごせなかったローズが上官を殺して部隊ごと脱走した……という設定です。詳しくは舞台版か漫画版をご覧ください。

 ともかくそういった過去から、リリィは部隊/家族への思い入れが人一倍強く、また負い目も抱えているのですね。「私もみんなを救いたいのに……!」の感情がよすぎて……。種崎さん好きすぎる。

 

・リリィの回復に対して悲観的だった二十一号がリリィの過去を垣間見、叫びを聞いて再び飛びかかっていくのが良いですよね。

 アニメ版ではカットされていますが、二十一号もスキャナータイプであり戦闘では直接役に立てない、事前の調査が終われば自分は用済み、といった無力感を抱えているので、リリィに共鳴するところがあるのですよね。

 ところで同じスキャナータイプでもヨルハ・少年ヨルハの描写と違って9Sはそこそこ戦えるので(ゲーム的な都合も大きいかもしれませんが)、スキャナータイプにも戦闘能力に改良が施されていっているのかも。

 

・リリィに向かって撃ち、二号に叩き落された弾丸。それを拾い上げるローズの決意、いいですね~。Bパート頭でも汚染を表す赤い実が描かれたりしていましたが、映像に託す表現っていいないいな。

 

・「私はみんなに救われた」と語るリリィの表情が明るいのがいいですね。悲しい結末を迎えた「家族」ではありますが、愛されていたこと、良い思い出は良い思い出として現在のリリィを支えてくれているのだと思います。

 

・変わる風向き。尺の都合でフタバとヨツバが血も涙もない感じになってて笑ってしまった。もうちょっと司令官みたいにつらそうな表情にするとかさ……!

 もともとの舞台版では特にフタバには人間らしい葛藤があり、このような命令を伝えるにあたって何も感じていないわけでは決してございません! 舞台版をよろしくお願いします!

 ちなみに男性版では双子オペレーターのフタバとヨツバはワカバというひとりのキャラクターに統合されていて、人間的な側面や司令官との関係性が濃く描かれておりすごく良いのでオススメです。推しです。

 

・アニメ版では一瞬で吹っ飛んでしまったマーガレット、ガーベラ、デイジーですが、各舞台版では死に様もしっかり見せ場になっています! 観てください! 特に1.3aaのガーベラの死に様ってめちゃくちゃ好きで……って音楽劇が観られないんですよね……。どうにかしてくれ~。レンタルでいいから配信してくれ~。

 というかデイジーまで普通に死んでいる設定だったのはちょっと驚きでしたね。リリィのそばにいないので死んでいるかもなとは思っていたのですがこんなにあっさり……。腕だけ残して下半身がゴロゴロはえげつない。

 

・「ヨルハ舞台、ガンナー十六号~」のシーンは音楽劇でも男性版でも泣きましたね~。懐かしい。

 アニメではもろもろカットされていますが、最初は二号を隊長としては認めていなかったり、ずっと部下らしくはない態度だった(まあ全員そうだが……)十六号がこういった場面になって初めて改まった態度を取って決意を伝えるというくだりで、ダリアとの友情も相まってめちゃくちゃ泣けるんですよ……。

 

・汚染されて残留を決めた二十一号を見つめるアネモネの優しい微笑み、いいなあ。やっぱり舞台版と言うよりゲーム本編のアネモネっぽい描かれ方ですね。舞台版などの過去のアネモネは基本的に猜疑心が強くネガティブな一匹狼タイプで、ここでも展開は同じなのですがこういう態度ではないです。

 というかアニメのアネモネって明確に二十一号より小柄なんだな。本編では174あるはずなんですが(二十一号役花奈さんは163cm)。

 

 これまたカットされているんですが、二十一号とアネモネの迎える結末というのもまた舞台版の大きな見どころですのでオススメで……本当になんで音楽劇と1.3aって観られないんですか~!?(1.3aaはBlu-rayが販売中です! バイナウ!)

 音楽劇の花奈さんのソロとかアネモネ役橘さんのお芝居って本当に良いし、男性版では歌がない代わりに入っているシーンがめちゃくちゃ心揺さぶられるし、本当に好きなんですが~!?

 男性版でも1.3aと1.3aaでアネモネ(にあたる役)の役者さんや、音楽劇や正史とアネモネまわりの展開が違っていたりして本当にすべて観てほしいんですが、音楽劇は再販や再配信されたとしても1.3aは記憶の中にしかないんですよね……。松原アネモネもう一回観たいよ……。

 

・「私たちは夢を見るか?」「見ない」のリフレイン。私たちは夢を見ない、これはすべて現実。夢のようなものを見たとしても、それは記憶の正確な再生に過ぎない。現実を受け容れて前に進むしかできない。

 二号と2Bは性格には明確に差がつけられているのですが(二号は平凡な性格に調整されているという設定)、それでも同じ魂を感じさせる台詞をA2登場前から出してくるのは良いですね。同じ二号モデルという話も先に出していますし、原作以上にA2と2Bを重ねて見てもらいたい/描きたい意図を感じます。

 

・四号のことを書くタイミングがなかったので少し。四号は一番の見せ場がこのあとの決戦なんですよね。舞台の殺陣では全体通して大きく活躍する人物なのですが、そこまでは物語的にあまり役割がなく、ましてダイジェストになっちゃうとどうしても目立たないんですね……。世知辛い。

 音楽劇では加えてバリバリ歌って踊ってかっこいいですし、一番の戦力で人懐っこく明るいムードメーカーだけどどこか虚しさを抱えている人物像が魅力的なキャラクターです。男性版ではローズに名前をもらう約束のくだりが好き。ぜひ各舞台版をご覧ください。

 

・リリィを単独でエレベーターに乗せる展開はアニメオリジナル。正史ではひとり生き残るアネモネの結末とも全然違いますね。展開的には1.3aに近いっちゃ近いですが同じでもないし。

 舞台版のリリィは汚染の影響で反動はあるものの特殊能力を使うことができるようになり、無力感を乗り越えることができるのですが、アニメではやっぱり無力なままっぽいのかな。役に立たない自分のせいで、と感じてしまうのはさもありなん。

 

・「みんなを救うんだろう? なら忘れるな、記憶に刻め」「守るために使え」。生きてほしい気持ちって好きだな。エレベーターで上昇していくリリィから見たローズのカット、凝った感じがしていいですね。散る花弁のカットも好き。種崎さんも本当にすごくて……ダイジェストだったけどいいもん見られたな。

 

・「私たちアンドロイドは夢を見ないし、魂もない。だが記憶は本物。そのときの記憶が今のあなたを作っている」。

 なんかこの世界のアンドロイドたちって、心とか魂とかそういうものをえらく高尚に捉えていますよね。間違いなく彼女らにもそれがあるのに、本物の人間にしか持てないものだと考えている。まあそういうふうに作られているんだと思いますが。

 その真偽や是非はさておき、そう考える彼女たちにも信じられるもの、拠り所にできるものが記憶であるのかなと思います。記憶こそが己。忘れないということ、それを誓うということは、彼女らにとって、人間がそうするよりも強い意味を持つのかもしれません。

 そして、2Bの語らない記憶、しかし映像に示されるそれは9Sなわけですね。今の2Bを作るもの。存在に刻み込みつづけてきたただ一人。そう考えると改めてめちゃくちゃ……めちゃくちゃモエモエしてきた! オレ記憶の棘読んできます!

 

・「私たちは夢を見ない」をさんざん繰り返してからの「それは……夢があるな」、オシャレな台詞だ。

 実際に二号は今も活きていて、夢は現実に「ある」のだから、つまりアンドロイドも夢を見る、アンドロイドにも魂があるということなのでしょう。良い……。悲しい過去の物語ではありつつ、希望を見せるいいオチでした。

 

・からの特別EDですよ。イントロも長いよ。アンチノミーをバックに穏やかな眠りにつき消えていくレジスタンスたちってシンプルに泣いてしまう。ローズの横に切れた髪紐が描かれているのが細かいですね。

 小瓶に入れて守られていた百合の花も、今は自分で生き抜いているのだなあと思うと余計に泣けてしまった。ずるい!

 

 

Cパート

・またtoi8先生を!? ありがとうございます! もしかしてA2のイラストもあるのかしら。楽しみにしていてもいいですか!?

 

・しかし制服姿でメガネをかけて爆釣とか書いてある本を読んでいるCV浪川大輔ってもしかしてペルソナ4……?

 

・枯れた球根云々って円盤のこと? 増えるイヴちゃんはかわいいですね。クソ長机をちゃぶ台にアレンジするセンスも好きだ……。

 

・EDの文面はLエンド……の改変ですね。こういうのアリならもう何やってもいいじゃん。ワクワクしてきたぞ。

 

 

舞台版へのパッションを綴っていたらいつもよりさらに長くなってしまいましたが、真珠湾詰め込みダイジェストではありつつ映像でしっかり語ってくれたり、「夢」を話の軸に一本通して現在の時間軸とまとめてひとつの話にしてくれたり、好きな回だったなあ。

2BがA2の詳しい過去を知る機会って原作(関連)にはなかったと思うので、そのあたりが今後どう影響してくるのかも楽しみですね。