ひっつきむし(独断と偏見による)

だいたいゲームの感想です

「NieR Replicant ver.1.22474487139...」の感想(PS3版既プレイ)

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PS4ニーアレプリカント、最終エンドまで終わりました。やってみるとリマスターでもリメイクでもないと言われていた通りの印象かなあという感じ。思ったより悪いとこそのまんまだったり、追加要素は大満足だったり。やっぱりもともと大好きで思い入れがあるゲームなので、それが変わることなく、より愛せるものになってくれてよかったです。これからもずっと大好きです。

限定盤を購入したのですが、これがまたいい出来で満足でした。内容物そのものも満足度が高いのですが、パッケージ(と言えばいいのか)がめちゃくちゃクオリティ高いんですよね。外箱から月の涙の箔押しが上品で綺麗だし、台本ボックスも全面凝ったデザインでどう飾ろうかいまだに迷っております。CDの入っているシロ型ケースもよくできていて、全部出して飾っておきたい。ほんと買ってよかったです。

以下ネタバレあり。基本変更点についてつらつら書いてます。

 

よかったところとしてはまずグラフィックの向上ですね。旧版は世間的な評価としてもあの頃のPS3ゲーとしてグラが良い方ではなかったですし、今っぽく綺麗になってよかったです。

顔の造形がかなり変わっているので好みはあると思いますが、私は新モデルがすごく好きで。かわいめの顔が好きなので(好みの話だ)。ニーアくんめっちゃかわいいしめっちゃ美脚でショタコンも大満足なんですが、特にカイネの顔がめちゃくちゃ好き。アイラインと睫毛がどの角度から見てもいい感じなんですよね。

あとは色素の薄いキャラクターが多いので、髪が陽に透けるのが美しく表現されているのがよかったです。デボルの髪型が原案準拠になっているのもよかった。地味に気になってたので……。デボルさんと言えば双子の唇がめっちゃいい感じの透け感でどこのリップ使ってんの? 教えて~になった。めっちゃリップかわいいですよね。

 

既存イベントのモーションは旧版そのままなのだけど、表情がすごく繊細かつ表現豊かになっていて感動しました。カイネの表情が特に印象的な場面が多かったですね。石化から目覚めるシーン、例のラブシーンなど、感情の揺れ動きがよりこまやかに伝わってきました。

カイネは顔の比率がかなり変わっていて、面長で男顔っぽかったのが小顔で目の大きい少女らしい顔になりましたよね。これに関しては好み以上に瞳に映り込む表現などが活きていてよかったです。カイネの目綺麗だなと思うシーン多かったですし。

 

あと表情や演出が印象的だったのは魔王の城でのデボポポやヨナかなあ。デボルさんはどちらのシーンでも悲しみや葛藤がよく表現されていて、見ているだけでも泣きそうになってしまった。

正直旧版で泣いた記憶というのもない気がするんですが、今回はデボル死亡、ヨナ消滅、Eエンドあたりは泣きましたね。私が年取って涙もろくなっただけかもしれませんが、それだけ演出など強化されているとは思いました。涙もろくなっただけかもしれませんが。

 

演技と言えばフルボイス化&録り直し&キャスト変更(追加)ですね。大きいところとしてはシロ。変更自体は寂しいですがピーターさんの休養の関係なので文句のしようもないですし、安元さんのシロもよかったので個人的には特に言うことはないかなあ。印象的には声質も相まってちょっと優しそうな感じというか、祖父みが上がってた気がしますね。

安元さんはシロの後任になったおかげで三役もやってて面白かったですよね。確かPちゃんが本役だったはずなのですが、配達員の台詞もめちゃくちゃ増えたし間違いなく一番喋っている。配達員さんでは人魚姫イベがやっぱりよかったですね。敗北バージョンの叫びの演技も、勝利バージョンの手紙のシーンも泣けた。

 

明確に今回のバージョンの方が好きだと思ったのはデボポポですかね。フルボイス化・イベント追加の恩恵大きめのポジションでしたし。一番の見せ場(?)のデボル死亡のくだり、ポポルさんの慟哭の演技がめちゃくちゃ泣けてより好きになったな。最後の「殺してやる!」で涙が溢れてしまってちょっとボコられました。「オマエにそんな権利が~」の表情がまたよくできてるんですよね。表現力向上最高。

 

フルボイス化で印象強かったのはギデオン(ロボット山の弟)とかも。狂った台詞がフルボイス化! やったね! そのまま読むと変な感じになりそうな奇声とかもうまいことやっていて声優さんはすごいと思いました。ひとしきり狂ったあとイケボで要件を聞いてくるのも狂気度マシマシでオモロだった。田村さん好きなんですよね。ショタの者なので……。

あとキャス変枠の仮面の王、榎木さん。仮面語ってわりと人によって話し方が違うのですが、榎木さんは自然で流暢な感じに演じていて面白かったです。仮面語がうまい(?)。変な力の入らないナチュラルな雰囲気や明るさと暗さのギャップの出し方が印象的だったり、胸にグサッとくるような演技をされる人だなと思っているのですが、そういうところが期待通りハマっていてよかったです。

 

追加要素の大きいところとしてはやはり人魚姫イベントですよね。SSを忠実にゲーム化しつつ膨らませ、オリジナルで少年期から布石を置く丁寧な(曇らせ)展開と専用曲や周回・分岐ギミックつきのボリューミーな仕上がりでした。泡沫ノ言葉、ストーリーの展開に合った優しくも切ないメロディと壮大なアレンジでお気に入りです。二周目(以降)に仕込みがあることはもはや有名なゲームですが、三周ちょっと前提のわりに三周目にはサプライズがないのが残念なところだったので、人魚姫は三周する意味があるイベントで嬉しかったです。

悠木さんのルイーゼも胸が締め付けられるようでよかったですね。ルイーゼは彼女の心情、配達員さんとの交流だけを見ればまさに人魚姫な悲劇なのですが、それでも人喰いのマモノには他ならず、その所業を決して許すことはできない。けれどやっぱり切なくて悲しい、そういうジレンマのあるお話であることを加害者と被害者の両面から強調する補完がいかにもこのゲームらしいところです。

その最たるところはやはり原作SSにない手紙を渡す結末ですよね。いっそ裏切られた気持ちのまま終わるほうが清々しい、楽なことだよなと思いました。ルイーゼの気持ちが伝わってよかったね、とも思うし、許せないけどやっぱり愛おしい矛盾した気持ちを抱えたまま生きていかなければならない配達員さんを思えば苦しい結末でもあります。

個人的な話としては、本当のことを知らないよりは知りたいかなと思うので、そういう意味では手紙を渡す結末の方が好きです(同じ理由で奥さんにも真実を話します)。それも真実を知る神の視点のプレイヤーだからこそ言えることではありますが。アレな性癖的には配達員さんが棒振り回すシーンもめちゃくちゃ好きです♪ あんなに幸せだったのが崩壊していく展開というのはそれはそれでいいものです。

 

それと最後のEエンド。大筋はSSと同じではありつつ、大幅にアレンジが加えられていましたね。こちらも全然知ってる内容なのに改めて感動できて満足でした。セーブデータ消されるからこその作品だ的な気持ちもあったのですが、データが返ってくるにしろしっかり内容に沿っていてよかった。というか逆ですね。内容に沿ってデータを消していたのだから、Eエンドをやるならデータは返してもらわないとフェアじゃないわけで。フェアでよかったです。

Eエンドにたどり着くまでにそこそこ手間がかかるのですが、展開的にはそこから行きたいよねというのはわかるんですよね。生きる意味を失い、死のうとしていたカイネが「お前の刃になる」ことを決め、再び生きることを決めるシーン、カイネにとって一番大切な場面なので。それを思うとまた泣けてしまう。スキップしようとすると出る「記憶が止まらない……」の表示もグッときました。うっかりスキップ防止の仕様そのものも地味にえらい。

やはりよかったのはカイネ役田中さん。ラストの感情の迸りっぷり、本当に泣けて仕方なかったです。旧版をなんだかんだ全然触っていなくて、ひさびさにプレイするにあたってカイネにとってニーアがいかに大きな存在であるのか、またどういった存在であるのか、そういうことを改めて考えていたのですが、なんかもうEエンドで全部持っていかれてしまった。説得力と言いますか、もうこれ聞いときゃオッケーだな、みたいな……。ニーアくんを抱きしめる表情とふたりのモノローグで感無量でした。

作品全体、メインストーリーもそうですし、どっちを選んでも後味のよくないサブクエストの数々を含めて思うことなのですが、どうせ全員が納得し、幸せになることができないのならば、あるいは他者を押し除けてでも自分の意思を通すこと、自分が納得できることを選んでもいいのじゃないか、そういうものがある気がします。私はそういう我を通すことが大好きなので、やっぱりレプリカントが好きだし、Eエンドが好きですね。ニーア(とテュラン)もカイネの気持ちを無視した選択をしたわけで、だったらカイネがやり返していけない道理がどこにあろうかと。どうせ世界滅びるんですし。見てる方の勝手な感情としては復活してくれた方が嬉しいですし。そういうところが好きなんだなあ。

 

変更点、少年と少女になったこと自体はキャストありきっぽいのですが、キャラデザはうっすらそれっぽい程度で好きなラインでした。カワイイ。2Bと9Sとは設定的に関係ない単なるファンサービスだと思いますが、ふたりが双子でこんな姿で一緒に過ごしていたらと思うと萌えますね。でもおねショタがミソなんだよな……(?)

原作では「少年」の台詞は裏設定大暴露祭り状態でしたがそのへんはかなり抑えめになっていましたね。あまり設定をゲーム本編でベラベラ喋らせたくなかったのか、あるいはカイネにピントを絞る内容にしたかったのか、両方かなあと思うところです。

魔王の城〜フック戦あたりがゲームオリジナルの展開ですが、オートマタに絡めたファンサービスが嬉しかったですし、フック戦もゲーム的な演出が熱かったですね。カイネはテュランを失った絡みで遠距離攻撃ができなくなっているのですが、途中までは不便だけど突進攻撃あるからいいか……くらいの気分でいられたものが、魔法なしでは戦えないフックを相手に手も足も出なくなってしまい、しかしシロの登場で巻き返す展開にはすごく感情移入して盛り上がりました。やっぱりゲームやっててこういう演出が効いてるとたまらなくグッとくる。

シロの再登場に関しては他にもニーア抜きでのカイネとの息の合ったやりとりもあり、本編ではカイネが絡めなかったシロとの別れもあり(結局エミールはハブですが)、こういうのがほしかったという感じでよかったですね。彼らの人間関係の中心は当然ニーアなのですが、そういう中心が不在でも仲良しみたいな描写めっちゃ好きです。エミールとカイネの追加イベもよかったですよね。

 

触れておくべきところはこんなところでしょうか。どうせなら改善しておいてほしかった点なども残ってはいるのですが、おおむね満足というか、やはり新規要素の満足度が高くて総合的にはすごくよかった気になっています。やっぱりまあダレるゲームではあるんですけど、好きが上回っているので許しちゃおっかな♪ になっちゃうんですよね。加点方式で評価したいタイプのやつ。

リィンカネも好調のようですし、またニーア関連作としてスタッフ募集があったりしてシリーズまだ続きそうな雰囲気ですが、今後もモリモリ追いかけていきたいです。