ひっつきむし(独断と偏見による)

だいたいゲームの感想です

「COCOON 月の翳り星ひとつ」の感想

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COCOON観ました。ネタバレ厳禁なので前置きに書くことはあまりないですね。言っていいことキャストの名前とウルとアンジェリコラファエロくらいですもんね。全部単語やん。というわけで、過去作含めて全てネタバレが含まれます。ご注意ください。

あまりにも長くなったので月と星で分割しようかとも思ったのですが、別の記事に移動してもらうのも面倒かなと思ったのでとりあえず雑に目次つけておきました。適宜ご利用ください。時間のあるときに読んでいただけるといいかなと思います。一応スマホでのネタバレ回避のために改行仕込んでます。よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<月の翳り>編

末満さんの中では青春とは殴り合いなのか?と思ったわけですが。すごかったですねバチボコ殴り合い殺陣。TRUMPでこんなもの見るとは思わなかった。質はもちろん量が…。新鮮でした。ただこう、誰も彼もあまりにも簡単に人を殴るので、シンプルに治安悪くないかなと思いました。君たちけっこうお坊ちゃんなはずでは。薬の影響+貴族狩りの横行…結局は治安最悪なだけな気がしてきました。貴族社会に支配されたことなかれ主義のクラン(失礼)では犯罪が横行しがちである。

前日譚、そしてひとつの青春物語としてまとまっていて素晴らしいお話でしたね。けっこう月編を初心者に勧めてる方もおられる印象ですが、私もこれはかなり入りやすいんじゃないかなと思う。シリーズ文脈にほぼ依存せず、かつ膨大なコンテクストが生まれているのでここから始めるのはめちゃめちゃアリですね。事件そのものはラファアンというか他作からの因縁が中心でないのが大きいのかな。

殺陣や演出も意欲的な感じで楽しかったです。「陰影」すごい好き。星もですが、ちょいちょい彼ら?のダンスシーンみたいなのもあったりして好みでした。蓄光素材の使用も印象的でしたね。それにラストシーンのためだけにしっかり衣装2着用意するのは贅沢だったなあ。ラスト殺陣はセルフオマージュ的でニヤニヤしてたらアレですもんね。好き。

 

・アンジェリコ(安西慎太郎)

パパに似て巻き毛の優雅な美人に育ちました感ひどくない? しそジェリコからりょんハルト作って安西アンジェリコ様に還元したでしょビジュアル。普通に最悪だよ。メタ的な視座だけでなく、アンジェリコ様本人がゲルハルトを真似てるのかなと思うともう。まあめちゃめちゃかわいいんですが…。お人形さんみたいだった。特にさりげないおリボンがかわいくていらっしゃる。リボンはラファエロとおそろ?でよかったですね…はい…。あとなんかフィジカルょゎょゎなの好き。殴られてアッ!とか言っちゃうのかわいいですけど一応剣とかそこそこ強い設定だったはずでは…!?

個人的にCOCOONに期待していたものというか、想像していたものってもっと両思いなラファアンだったんですよね。なんかもっとちゃんと仲良かったんだろうと思っていて。こんな片思いやったんか~いみたいな。まあそうだよね…普通に二人の過去とか想いってアンジェリコからしか言及ないし、そうだよね…。なんぼ幼馴染と言ってもここ数年ほぼやりとりなかったみたいですし、アンジェリコ様がやたら重いんですよ。いやもちろんラファエロからも友情はあったんだけど差がすげーわ量も質も。会えない間に勝手に気持ちを膨らませていた感がすごい。

なんていうかもう初恋こじらせたみたいな感じですよね。アンジェリコにとってラファエロは「ひとつの星」だったんだろうな。あの星を掴めれば、希望が手に入ると信じていたんだろうな。愛されず誰にも心を開けず、自然と幼き黄金の日々に希望を求め、それを膨らませ続けていたんだろうな~! たったひとつの拠り所だったんだろうな~!! ああつらい。ほんと勝手な期待なんですよ。別にラファエロが悪いわけじゃない。そもそも友人と家族の究極の二択で友人取れるやつなかなかいないと思うよ。何が最大の不幸って再会してしまったことだと言えよう。一生会えなければ現実にぶん殴られることもなく。でも「裏切られた」と思ってしまったアンジェリコ様を思うとつらい。幻想でもラファエロだけが彼の希望だったんだから。壊れていくのも道理なんですよね。

そう、あんな出自であんなピエロぶりでもせめて溺愛された結果のあの性格であってほしい…と思っていたんですがダメですか。まあゲルハルトがアンジェリコを愛せないのはわかる、わかるんですけど頑張ってほしかったなあ…。そのへんはアンジェリコ様の思い込みでゲルハルトの愛情が伝わってなかったパターンでもいろいろつらいしもうダメです。だってもう何も取り戻せないんだもん。どうすりゃいいんですか。

あの赤い花びらは、身体の血以上に心から流れる血なんだと思うんですが、もう最後の演出ね。天才? もうすごいドキドキした。二人ともすっかり赤に染まって、だのにあんなにドバっと…。そうだね絶望だね。悲しい子ですよ。繰り返しになりますが本当にだいたい全部アンジェリコの勝手な思い込みで期待で、だけどあんなに必死であんなに傷ついて壊れてしまった子に同情しないでいられますか。苦しいですよ胸が。ほんと演技すごかったないろいろ…。

それでも生きてさえいられたら、大人にさえなれたら、ジュリオたちのようにいつか青春を振り返ることもできただろうに。いつかはラファエロとも和解できたかもしれないのに。いや当たり前といえば当たり前なんですけど、こんな風に語られてしまうと今更のように惜しくなってきて…という話は星編の方で書きます。

あとオタクなのでラファエロの目に対する言の変遷でキャッキャしてしまいましたね。絶対COCOONラファエロの目を褒めててほしいと思っていたので…。そこからお前の目が嫌いなんだよまでの移り変わりを見られて大満足です。自分を憐れむ目、蔑む目、自分を見ない目…嫌いだよね~いいよいいよ!!となった。

 

ラファエロ荒木宏文

君かわいいね。なんかおぼこいよね。幼い印象はやっぱわざとつけてた感じでしょうか? 35歳男性すごい。にしても月でも星でもボコボコにいじめられててかわいそうでした。ラファエロが何をしたっていうんだ。あまりにも不幸すぎやしないか。ダリちゃん子育て失敗感が正直感じられてつらい。親がどんなに愛していても、当の子供が愛されていないと感じているのなら、それは一面では全く愛していることにはならないんですよ。厳しくしなければならなかった(とダリが思う)理由もわかるだけに悲しい。愛しているのに伝わらないデリコ問題。

本当は弱気な子だったんだよと示されるとベタですがますます愛おしくなってしまった。そうだよねラファエロもいっぱい頑張ってるよね…。本来の一人称は「僕」だったってことでいいんだろうか。COCOONでは主に「俺」、TRUMPでは「俺」か「私」ですが、どちらにしても強く見せようとしていたってことだよね。オタクなので俺僕私!と思ってしまうんですけど、あれは彼に性別がないので俺→僕→私と弱くなっていく(女性性の現出)っていうことであって、男性一般では「私」って基本フォーマルな一人称ですからね。

月編を見てラファエロは振り回される側なんだという認識を改めてした感じです。関係ない…というと語弊がありますが、いつだってラファエロは真に渦中の人たり得ない。月編、ちょっと変わった構図ですよね。事件の中心はドナテルロ・グスタフ・ディエゴで、主人公はアンジェリコ。ただ群像劇的だと言うには少しねじれたものを感じます。ラファエロの内面も丁寧に描かれてはいますが、ガッツリ巻き込まれてるわりにどこか蚊帳の外というか。月の翳りにせよTRUMP/星ひとつにせよ、あるいはグランギニョルにせよ、彼の意志は物語の進行になかなか干渉することができない。なんていうか無力感ありますよね。悲しい。

 いろいろ巻き込まれまくって当たられまくって、怒りたいのはラファエロの方だよなと思うんですよね。あっちこっちから勝手な期待かけられて利用されて。ウルのことだってそれこそ理不尽に背負い込まされているわけで。それでもラファエロはウルを愛してる、自分の意志でウルを守りたいんだと思う。健気か。「たとえ他に選択肢のない状況でも自分の意志でその運命を選び直す」ってすごく美しいと思うし好きなやつなんですけど、彼がそうして覚悟を決めたからアンジェリコとの関係もアンジェリコ本人も壊れてしまって、ラファエロ自身傷ついたし、結果として二人ともあんな死に方をするしかなくなってしまったんだと思うとこう…つらいなあ。

 

・ディエゴ(碓井将大

あなたはそこにいますか?と思ったオタク絶対おるやろ。私です。いるとかいないとかどこにもいないとか居場所とか言うから…。めちゃくちゃ他作品の話で申し訳ないんですけど、彼を見ていてファフナーというか冲方作品ってひどいけど前向きだよなって思いました。人めちゃくちゃ死ぬけど、言いたいこと伝えたいことはごく普遍的かつポジティブだよなと。NowhereがNow hereに…なれなかったディエゴ…。TRUMPシリーズはテーマが前向きと言うよりは、たとえば前向きであることの美しさを描き出すことに重点がある気がします。

ディエゴは最初から罪と嘘にまみれてしまっているわけですが、その罪悪感に苦しんでしまう弱さ、あるいは優しさみたいなものが人間くさくて好きです。苦しまなくてもよかったということはないんですけど(悪いことは悪いことだと思う)、苦しまないでいられる人っているわけじゃないですか。他人を騙したり搾取したりしても。あんなに苦しんでいるのにそこからあえて抜け出すこともしない・できないでいるところがグッときます(ごめん)。あと根が真面目なんだろうなとか。「父に愛される良い息子」であろうとした時期もあったんじゃないかなという妄想。

突き詰めれば彼はただ生きていたかっただけなわけで、なんかこうままならないですよね…。自由に生きたかっただけなはずなのに、気がつけば自分で自分を縛り付けて動けなくなっている。開放されたかった、壊れてしまいたかった気持ちはよくわかりました。やらかしまくってくれたわけですけど、ああも丁寧に痛々しく描かれてしまうとなあ。表情がものすごくて、顔を見てるのがつらかった。

最後に「父さん」への命令を取り消した?様子ですが、そこからますます堕ちるのではなくどうか上向きに人生を変えてほしいところです。ヘルクランなどとは言いますが、彼の行き先は地獄でなく煉獄となりうるのでしょうから(うまいこと言った顔)(言えてない)。しっかりグスタフのように更生してほしい。いろいろな意味でね。

少しでも善い方へ行きたいのなら、結局はああいう風に生きていくしかないんじゃないかなと思うんですよ。つらいだろうけど善く生きることを諦めないでほしいっていうのはエゴでしょうかね…。けれど彼は大人になることができるのだから、生きて人生を変えてほしい。そうできなかった人のためにも。

 

・エミール(宮崎秋人

んも~おいたんはまたミスリードする! 絶対NU版陳内アレンに寄せましたよね? というか「両方に出演するけど違う役」ってこういうことだったんですね。飛び道具だなあまた…。繭期の相当ポピュラーっぽい症状でありながら全く姿を見せなかった幻覚タイプを今回はモリモリやってくれて楽しかったです。あのどこかフワフワした白い、繭の中の世界が彼らの見ているものなんですね。

しかし意味深なようでいて彼もまたそういう意味ではゴロゴロいる繭期の一人にすぎないというお話。繭期の症状としてはアレンや彼のようなポエマーもそれなりにポピュラーなのであろう。彼はただ思うまま、繭期であるがまま純粋で優しく幸福だっただけで、そこに何かを見出そうとするのは周囲や観客の勝手な期待、思い込みなんでしょうね。ほんとただのいい子だった。終盤有能ムーブしだすのなんか好き。

エミール(とジュリオ)にとっては、繭期というものはただ過ぎ去る青春であって、儚い夢だった。この世界には希望しかないという優しい夢。けれどあのとき彼にとっては本当のことだったし、彼はそれに対してとても真摯で胸に来ました。これはシリーズ全体への私の見方なんですけど、花は散り希望は絶望になるとしても、そういう一瞬の美しいものに価値がないなんてことはないと思う、思いたいんですよ。だからエミール好きなんだよな。うまく言えてないけど。

 

・ジュリオ(田中亨)

月編で一番お気に入りのキャラです。何って「まともないい子」なんですよね。たぶんディエゴたちが抱えているような家庭問題なんかもなくて、ただ繭期であるというだけの、それもそう重くもないような、まともないい子。いい子すぎて生き残ったのびっくりですよ私は。誰か倒れたり運んだりするときにすかさず寄っていくのがよい。

思春期(繭期)というものはやってきて、そして通り過ぎていくもの…的な部分をあらわすキャラクターなんですかね。繭期=思春期、という面を最も強く表した人物と言えるでしょう。死や不老・不死というかたちで永遠に繭期に縫い留められてしまった少年少女たちはシリーズの物語上ではむしろ多数派状態ですが、それは(悲劇的な)あれらの物語だからであって、大人になり、思春期を抜ける者が本当は99%なわけです。

ジュリオはまあ、有り体に言えば中二病だったんでしょうね。原義の方のね。一人称もわざと「僕ちゃん」なんて言ってたんだろうな。彼のそれはディエゴたちの抱えるような深く暗いものではない。通り過ぎ、いつか振り返るものです。だから、ジュリオは「そっちには行かない」。惹かれはしても、行かないことを「まともに」選ぶことができる子です。彼は狂気の淵にはいないので。

それはいいことなんですよ。悪いわけがない。健全なのは素晴らしいことです。けれどみんな狂っているので、彼(とエミール)はどうしようもなく疎外されてしまう。「行かない」と同時に「行けない」。舞台の中央で起きることを、端っこでただ見ているしかない。いやつらかろうなと…友達だもんな…。

ちょっと翻すようですが、ジュリオだって悩みは真剣だったでしょう。退屈で退屈で、けれどそんな日々を彩ってくれたのが友達だった。パンフのポエムいいよね…。けど、どんなにディエゴが好きでも、彼をわかれなかったし助けられなかった。面と向かって友達と認めることさえ。傷だよなあ。しかし傷つきつつも大人にはなってしまうし、生きていってしまう。そんなものとも言えます。思春期は死に、彼らはいつかそれを振り返る。そしていつか、ディエゴと再会できたらいいですね。そして友達だと言えたら。

そういえばTRUMPシリーズで青春を抜けて大人になる、なんて過程が描かれるとはちょっと驚きですね。なにせみんな大人になれないからな…。群像劇的なカラーの強い今作ですが、ひとつの青春物語としては彼とエミールは間違いなく主役だったと思います。立ち位置的にも語り部の役割があってもハマりそう。亨くんの演技もよかったな。飄々と振る舞おうとしても善良さがにじみ出てしまう感じが好きでした。あとお袖で遊んでるのかわいいね。

 

・グスタフ(郷本直也)

ドナテルロ回顧録公開後であるところの15年版TRUMPで何も触れられなかったので、彼は何を考えているんだろうなとずっと思っていたんですが、まさか罪を後悔していたとは。なんともはや。いや、後悔している方がしていないよりはずっといいに決まってるんですが、萬里たちを思うとなんとも言えない気持ちになります。

罪を犯した者はそれを償うしかない。そして償う限り赦されるべきでもある。それはわかるんですが、そうするべきだとも思うんですが…。今の彼が真摯で立派であればあるほど逆につらいものがあるんですよね。グスタフ本人も苦しみ、誠実に向き合おうとしているからこそ今があるんでしょう。やり直せる(吸血種の社会は彼にやり直しを許す)のだから、これが最も善い道なのには違いないはずです。

でも、だからこそやっぱり重たい。過去の罪から本当に開放されるということはないんだろうから、もうそのへんは抱えていくしかないんでしょうね。白々しい、盗人猛々しいと言われたとしても。ジレンマだなあ。もし萬里が生きていてすべてを知ったら、彼をどう思ったんだろう。あるいは彼と仕事することになったノームのことは。今まであまり考えてなかったんですが、母の仇であり父と別離してあんな人生を歩むことになった原因と仕事してるんですよねノームって。お互い知らないとはいえ。

そういうわけで好きなシーンはドナテルロに謝るところです。謝り慣れてない感じは素直にかわいかったりする。グスタフに関してはシリアスに描きつつお茶目方向の人間的な魅力も出せていてとてもよかったなあ。好き度が跳ね上がったキャラクターです。

 

ミケランジェロ鬼頭真也

超かわいい! のに殺陣するのずるくない!? 好き! もうね、映えですよね。あんなヒラヒラのスカートでブンブン殺陣するのずるいずるい。ロマンですよ。お衣装が白いのでロリイタ感が強くてキュートなんですよね…。のに殺陣しちゃうという。それもわりと強い感じだという。ああずるい。ギャップ萌えというか。

殺陣するにしてもありがちな男っぽい喋りになるとかでないのが最高です。ミケちゃんはミケちゃん。つとめて明るく振る舞っているところ、秘密を守り生徒を守るために頑張っているところはあると思うんですが、自分を偽ってオネエやってるわけではないんですよね。いいなあこういうの。

かわいくておもろい癒やしなミケちゃんが好きでしたが、ここに来てキャラがより深みを増したのがとても嬉しいですね。こうして描かれることでTRUMPでの彼にまでもっとぎゅっと中身が詰まるじゃないですか。ミケちゃんに限らずですが。グスタフとミケランジェロはふたりでひとつ。相反しているからこそお互いを必要とし支え合い、補い合って生きている。あ~いいな。好き。出会い編というか再会編が見たいですね。ドナテルロ回顧録の続きが読みたい。

 あとなんか似たような話ばかり書いている気がしますが、グスミケの真面目なお仕事モードがいっぱい見られたのがよかったですね。ギャグシーンも大好きなんですけど、特にラストの方とか、いろいろなことを考えながらティーチャーとして働いているんだなと、当たり前といえば当たり前ですけどね。ミケちゃんは優しいなと思いました。

 

・ジョルジュ(大久保祥太郎)&モロー(池村匡紀)

ジョルモロかわいい問題。ちゃんと本心からアンジェリコ様を慕ってたんですね。最初は尊敬というか屈服というかだったのが、徐々にアンジェリコ様の人格を知ってめちゃめちゃ好きになってるのがかわいい(小説の話)。最初服のシルエット見てわあオシャ…いやこれ白い昭和の不良(ボンタン)じゃ…と思ってたら本当に不良設定でフフッてなった。わざとなんだろうか。特にモローはインテリげな見た目なのにフッツーに暴力振るってくる感じがイイネ。

ほとんど単なる面白コンビだった二人にこうしてドラマが生まれたのが月編サイコーだなと思います。もうね、NU版グスミケもジョルモロもギャグ削られたせいで直接的に出番減でかわいそうだったもんな…。ギャグと言えばジョルジュが芸人デビューしたのはディエゴの一言がきっかけなんですね。元々のキャラでもアンジェリコ様発でもなかったのは驚き。アンジェリコ様への奉仕精神も関係はありそうですが。というのが描かれたせいでモローの語尾キャラだかクイズキャラだかはどっから湧いてきたんだと気になるわけで…いやほんと何? クイズを出したらアンジェリコ様にウケたんですかね…?

彼らが「自由に生きろ」と命令されてディエゴを襲い、からのアンジェリコへの服従を決めるのがなんか好きなんですよね。自由に生きたい。理不尽にねじ伏せられ従わされるのではなく。しかし自由に生きるとは自分の意志で選択する、生き方を決めることであって、そこには誰かに従うことだって含まれているんですよね。従いたいと思う人に従うのもひとつの自由。こういうやつ好きです。二人の価値観を破壊され、戸惑いすら浮かびつつも跪くあの感じがたまらない。

しかしこんなにいい関係を築いといてこの後当のアンジェリコの手で破壊するっていうのがね…。ソフィに代表される話ですけど、末満さんほんとそういう変化をつけるのに容赦がない。「不老不死」という永遠不変のものを描きながら、人間の精神や関係に関しては諸行無常もいいところですよね。誇り高く美しかった心も摩耗し折れ曲がり原型をなくしていくあの有様。だからこそ美しいものがより輝くという話でもあるんですが、もうこの辺は永遠にグルグルしてしまいます。光と影はお互いをより色濃くする的な…。だから「この世界には希望しかない」し、「この世界には絶望しかない」のかな。表裏一体だから。

 

・ドナテルロ(細貝圭

すごい二次元めいた美人で驚いてしまった。小説からはなんか見た目凡庸な感じを想像していたので…。というかアラフォーなのに(失礼)。ああいうわけわかめな髪型大好きです。ジュリオとかもそうなんだけどなんか今回ウィッグすごい美髪ですよね。サラツヤ。あとメイクも好き。キャスパレもすごい雰囲気あっていいですね。ソロパートかっこいいんじゃ。殺陣もかっこよかったなぁ。2対1の立ち回りすごく見ごたえがありました。狂気っぷりも素晴らしかった。

でも凡庸っていうのはそう外れた印象でもなかったんですかね。それこそが彼のコンプレックスだったわけだし。実際凡庸かと言うとそんなおつむでも性癖でもない気がしますがそういう問題じゃないんだろう。何かとしょうもないやつではあるし…。ツイッターで繭期オタクおじさん呼ばわりされてて笑うけども。ネタバレ回避のための呼び名ですがこれは残る気がする。

月の翳り、全編男男感情で面白かったんですが、このおじさんときたら濃すぎる。グスミケ、言うなれば作中一の安定カップル(?)なわけで、よくそこに片思いしたな。まあドナテルロがグスタフに惹かれた段階ではそうでもないんですが、逆に言うと今ミケランジェロの存在がグスタフにとってどれほど大きいことか。クソデカ感情結果的に横恋慕おじさんかわいそう。

ドナテルロのやらかしたことっていうのはまあそりゃもちろんダメなわけですけど、過ぎ去ったもの、かつて手に入らず手に入るはずもなく二度と手に入らないもの、「ひとつの星」に焦がれる男なんだと思うとけっこうツボです。好き。クラウスやソフィに通じるところもあるよねというかけっこうソフィのセルフオマージュか。求めた相手の代わりを作り出そうとするところとか。ソフィにアンジェリコ成分を乗せてお届けされてる感じがしますね。みんな叶わぬ恋をしているんだな、いや恋ではないんですけど、あの渇望っぷりは恋と言いたくなってしまう。適切な言い方を教えてほしいですね。

血を花びらという美しいもので表現しながら、ドナテルロの眼だけは血のりをまぶすのがやはり印象的でした。あの生々しさ。繭期は美しく、ダリだって美しかったでしょう。心が流す血は赤く美しい。しかしドナテルロは美しい血を流せない。残酷ですね。ビジュアル的には現実離れして美しいのがまた皮肉です。ゲルハルトみ。

彼は美しさを求め続け、スーラとなる…のでしょうか? Pendulumサッと読み返したんですが、崔の語る「3年前の事件」は月編の出来事であるようなそうでないような。ドナテルロがコクーンを作ったかどうかは濁されていたというか、どこからか入手しているような口ぶりにも聞こえたので、スーラ本人ではないんですかね。再登場のタイミングがあるならPendulumでしょうけど。ボッロボロになってくれてると個人的には興奮します(ごめん)。いやでも美しい男が醜く老いさらばえるのってそれはそれでエロいよね。

 

<星ひとつ>編

おいたんどうしたの? オタクの感想読みすぎちゃった感じ? それとも誰かにTRUMPってガバガバですよねこことかあそことかってネチネチ言われたの…? 元気だして…。

いえね、ふざけてはいますけどふざけてるわけではなくて。なんだろうな、ずっと見たかったものがたくさん見られたんですけど、とても嬉しいんですけど。こういう言い訳めいたものを見たかったわけではないかな。嫌な言い方になりますが。媚びないでほしいし、説明しすぎは正直ダサいし、後付でガンガンこじつけていくような力強さがあればそれでいいと思うんですよね、末満さんに対してもTRUMPシリーズに対しても。おじさんの後付けスキルにはいつも感動してるよオタク。設定変更されてもついていくよ。とりあえず妄想を公式に実現されても微妙な気持ちになりもすることはわかった。オタクは面倒。でも「絶対にTRUMPと同じボケはしない」という意気込みを感じたのでそこは好きです。なんだあのミケちゃん。

いやでもエモエモのエモすぎてね~~~~~大好きですよ星ひとつ。だからこそ複雑なんですよ! そう、あのとき(2015年12月)僕らは確かにここにいた、懐かしき我がサンケイホールブリーゼクラン…。もうクラウスの「あのとき彼はここにいた」でエモすぎてひっくり返りそうになりましたからね。いましたよ、あなたも私たちも彼もここにいた。いたんだよ~!! こんなにオタクしていてよかったと思う種類のこともない。ファンサで言わせているのではないからこそ。これは関西公演民の役得ですね。東京はもうブルーシアター自体ないしなあ。

手放しで好きなのはやっぱりダリ周り。単純に新規な情報も多かったですしね。レイン中級議員も見られて嬉しかったし。それにとにかくあのエモさにねじ伏せられないオタクがいるか(反語)。だってもうね、ダリ出るよなとはわかってましたけどね、ああそのまんまだ、染ダリだと思うとオタク泣いちゃったよ。ド頭の愛という名の呪いのイントロであっ(死亡)て感じでしたけど。個人的にシリーズで一番好きなシーンなのもあってもう無理無理の無理でした無理。はあ。あと月→星で観たので、月を踏まえて感じることがたくさんあって楽しかったです。

というか何しろシリーズファンへの殺意が高すぎてビビった。グランギニョルの再演から始まり、キャスパレ輪廻夜想のアレンジて。他にもシリーズ作品のBGMとか盛り盛りでテンションは上がりますよねそれは。 BGMと言えば明るい雰囲気の曲が新規でいくつかあって嬉しかったです。ギャグを抑えてシリアスにするそれ自体は良いのかなあとは思うんですが、楽しかった頃、幸せだった頃があってこその悲しみや不幸じゃないですか。いえ普通に楽しくしてるところを見るのが好きなんですけど。ソフィウルかわいいよ。

 

・ウル(宮崎秋人

繭期感マシマシでよかったですね。病み感。ウルの世界はこんなにもフワフワ…というと違うかもしれませんが、霞がかっているというか、繭期らしいものだったんだなと。図書室での陰影ちゃんとのダンスめいたシーンが好きです。陰影ちゃんアート的でかわいくないですか? ちゃん付けしてしまう。じっと見てると集合体恐怖の人にはキツそうだなとは思いましたが。というかおじさん仮面にハマってるのかな?と思っちゃった。再スペのアフリカ風仮面気になるんですよね…。

改めてウルの内面というものを描かれると、やはり彼の切実さが胸に迫りますね。やっぱり彼は負けなかったんだなあ。本当に絶望するということはなかったんだ。と思うとすごくすごく嬉しい。病んで壊れていったかもしれないけど、最後まで生きたいと願うこと、希望することをやめなかったんですよね。偉いね。言ってることが矛盾するようですが、ギニョルのときも書いたように、私はダリのイニシアチブを命令ではなく祈り、願いだと思いたくて。その祈りを受けてウルは最期まで戦ったんだと思いたくて。そのために苦しんだのだとしても、その苦しみこそが尊い。なんか要領を得ないけど雰囲気で伝われ。

それでもうね、ソフィ大好きかよっていう。ソフィはウルにとってコンプレックスを刺激する存在でもあるんですけど、それは憧れということでもあって。同じなのに違うことがとても苦しいけど、だからこそウルにはソフィが輝いて見えた。ウル→ソフィって矛盾した気持ちがたくさんあって、いいですよね…。やっぱりグチャグチャなウルが好き。剣術指南のシーンでウルが本当に楽しそうに嬉しそうに笑っているのが大好きです。ソフィ大好きなのが伝わるシーンがたくさんあってよかったです。そして大好きだから殺せない。このへんはNU版の感想にも書きましたかね。

で、ソフィさん大好きなのはいいんですけど、こいつマジでダリとラファエロに感情ないなと。ひどい。ウルの主観でお送りしてもこれか。ラファエロお兄ちゃんはな…お前に人生をな…捧げたんやぞ…。まあね、ウルにしたら全部知ったこっちゃないのもわかるんですけどね。ウルにしたら全てが理不尽で欺瞞なわけですから。尽くされることさえ。尽くされてることも理解してなかったと思いますが。このへん思春期だな、若いなとしみじみ。何も選べない人生で唯一選んだものが友人だったのかもしれませんね。そりゃ執着もするか。

でもなお前な、ラファエロにとっても理不尽に湧いて押し付けられたのがお前なんやぞ…。話し合えよ。もっと話し合えよ。そして慮れよ。相手の感情を。そのへんダリもラファエロも本音で話せばまだよかったのかもしれませんが…。デリコデリコじゃなく愛してる、お前が大事だって言えればよかったんだろうな。でもそう言ってやるのも酷ってものなんですかね。しかしとりあえずダリちゃんギルティ。酷ですがギルティ。ウルももっと時間が余裕があれば二人のことを理解してやれたかもしれないと思うと死というのは残酷なものです。本当に。

 

ラファエロ荒木宏文

ラファエロが何したっていうんだ(リピート)。 月観た後だとますますどうしてこんな全方向から責められてんだこいつと思ってしまいますね。唯一まともに慕ってくれるソフィは自分から邪険にせざるを得ないしあまりにもあんまりすぎる。しかしまあひどいことを言ってしまえば何もできなかったんですよねラファエロは。彼は無力ですよ。つらい。弟に言うこと聞かせることもできない。でもそんなの押し付けるほうが間違ってるんですよ。ラファエロはウルのパパじゃないんだから。

月にしろ星にしろ、彼はどうしたって何もかも押し込めて背負い込んでしまうやつだったなあと思うと、やっぱり本音を言えてたら何か変わったかもしれないと考えてしまいますね。本当、理不尽に押し付けられたものがあまりに多いので、自分からそうしてりゃよかっただろとはとても言えないんですけど。ラファエロもウルみたいに爆発できてりゃよかったのかもしれない。それができないいじらしい長男なんですけど…。

星のラファエロはこれまで見てきたTRUMPのラファエロとは印象がやっぱり違ったかな。月星ともに弱々しさ、幼さを持った人だということが示された感じです。でも考えてみれば当然ですよね。ラファエロだって子供だったんだから。たった17の子供が負っていい、負わされていい苦しみではなかったんですよね。それでも彼は頑張っていた。うまくやれなかったことと、彼がとても頑張っていたことは切り離して考えてあげたい(ウエメセ)。

でも実際のところ、生きてさえいればどうにかなったことだってたくさんあったはずなんです。思春期に子供が親兄弟とうまくいかなくたって大人になっていくうちにほどよい関係が見つかるなんてどこにでもある話です。子供が中年とかそれ以降になってようやく親と和解するなんてことだって全然あるし、仲違いした友達とだってまた仲良くなれたかもしれない。ウルの死は避けられなかったかもしれないけど、せめて穏やかに見送ることはできたはずで、いつかは死を受け容れることもできたはずです。恐ろしくとも当たり前にあったはずの未来では。

ジュリオもエミールも(ディエゴも)、確かに彼らと一緒にいたんですよ。友達だった。横に並んでいた。そんな彼らの越繭する姿を見てしまうと本当になんだかつらくなってしまって。ラファエロもアンジェリコも、みんなあそこで死んでしまった、未来を奪われてしまったんだなあと。生きていたら変えられることも、死んだら全部終わってしまう。当たり前のことではあるんですけど。

冷たい話ですけど、個人的にはTRUMPで死んだ人についてあまり感情なかったんですよね。ということに今回で気付いた。なんというか、あそこが始まりだからですかね。最初から死んでいる人という認識で、「死んだ」ことについて特につらいとかがなく。だからこうして始まりの前を描かれると急に惜しくなってしまった。思い返せばSPCTERでもそうだった気がします。生きていられたらなあ。生きてさえいられれば…。

 

・アンジェリコ(安西慎太郎)

月観て小説読んで星観ると、もうあのときは本当に狂ってしまっていたんだということが感じられてつらかったです。クラウスおめーのせいだぞ。月での出来事と積み重ねられた3年間があってこそでしょうけど、アンジェリコ様がことを起こしてしまったのは確実にクラウスのせいですからね…というか元を辿ればあの院長のせいだね。ごめんね。そう、クラウスばかり悪者にするのもよくないよくない。

高貴で高潔であろうとした、父のようにと努力した、イニシアチブでたったひとつ「自由に生きろ」と命令したアンジェリコはもういなくなっていたんだなと思うと悲しいですね。ラファエロとの悪くなっていくばかりの関係やクラウスの影響が彼を壊してしまった。安西さんの演技がそのへん素晴らしくて。月→星と、狂気に染まっていくグラデーションがいいですよね。否応なくアンジェリコが壊れていったことを実感させられます。

いつからジョルモロを操ることすら躊躇しなくなったんだろうと思うと悲しいです。ギニョルのときも書いた気がしますが、イニシアチブを取る行為って多かれ少なかれ相手の心を殺すことだとじゃないですか。自由な意志こそ本当に尊いもの、心というものの本質だと思うんです。相手の意志を奪い操るなんていうのはもう殺人と言ってもいい。なのに月編では二人を咬みつつも自由であれと彼は言った。それがどんなに美しく素晴らしいことか。なのにですよ。つらい。

美しいものはすべて汚れていくのでしょうか。死んだ者、死んだ希望、死んだ青春だけが美しいのか。それでも美しいものの美しさを否定したくはない。それが人間の愚かさであり美しさです。愚かさこそが人間の美しさだと思うんですよ。だって生まれてきたら死んでしまうけど、それでも人は(あるいはそんなことを考えずに)子供を産むし、悲しいことを忘れて生きられてしまうし、希望を素晴らしいものだと感じるじゃないですか。これを愚かと言わないでなんと言うのでしょう。

将来の悲しいことが嫌なら今すぐ死ねばいいんですよ。その方が賢いのではないかとすら思います。実際死んでしまう人もいるけど、そうでない人の方が多い。それが健全だとされている。それってすごいことだと思うんですよね。だから愚かであることは美しいんです。ともかくも、一瞬の輝きだとしても美しいものは美しく、それだけで価値があるし、その価値は永遠に失われないと言いたい。

というかこれ確か2年前(グランギニョル)も書いたよね。ほんとTRUMPシリーズに対していつもこれを思っていますよ。たとえ末満さんが逆に悲観的な考えをもってこういう物語を書いているのだとしても、私はこれを言い続けたい。こういう風に考えられるようになってよかったと思っているし。ありがとなおじさん…(?)。とは言いつつ、やっぱり最後の最後には救いがほしいなとは思っているんですけど。最終的にアンジェリコ様関係なくなってるごめん。

そうそう、クランフェストにゲルハルトの姿がないことそれ自体は特に意味がなかったと思うんですが(そもそも最初は設定上存在するアンジェリコのパパでしかなかったのではないか)、こうしてグランギニョル、月の翳り編が生まれた後だといろいろなことを想像してしまいますね。TRUMP時点でアンジェリコ様が父親にどれくらい拘っていたのかははっきりしませんが、あのクランを追われること、それらの失態を父親に知られること、クランフェストに来てもらえないことにすごく傷ついたかもしれない、ゲルハルトはそんな中でのアンジェリコの死に何を思ったんだろうと思うとつらい。

 

・ソフィ(三津谷亮

ソフィにはあんまり追加シーンの数はなかったかな? まあデリコ版TRUMPですしね。ソフィばっかり出したらそれただのTRUMPだわ。ともかく二年連続で三津谷ソフィを拝むことになるとはなんたる幸せ。マリゴソフィが邪悪も邪悪だったので綺麗な三津谷ソフィが見られてよかったです、汚いソフィも大好きですけどそれはそれこれはこれ。味が違いますからね味が。ソフィウルかわいい。剣術指南のシーンでソフィも楽しそうにしてるのすごく好き。

ソフィ的にはやはりラストの改変ですよね。ウルがこときれた後どうしたんだろうは誰もが思うところですがこれが友情ってやつですか…。不老不死だとはいえ、周囲が全て灰になるほどの炎の中、自分を燃やしてもウルを守ったのか。すさまじいことです。震えました。「いい友達」ですよ本当に。そんな言葉では足りないくらい。本当に本当に大好きだったんだなあ。そりゃ執着(略)。

しかしソフィに対してあまり言うことがないな、と思うと地味にすごいことだなと。本来の主役を脇に追いやってでも成立する物語なんですよね。というかそこまでに成長したコンテンツってことなのかな。TRUMPって元々あまり語らない作品だというか、たいていのキャラクターのバックボーンは不明だし、心情なんかも役者の表現に委ねられているところが大きいですよね。それが10年間で個々のキャラクターに過去の物語が付け加えられ、TRUMP自体も改稿され、「過去」のないキャラクターはTRUMPにはほぼいなくなったわけです。グスミケはもうちょっと語ってくれてもいいと思うけど…というか単にほしい。シルバーアイはよ。

というわけでこうなったらアレン&ピエトロ編をやってくれないことにはですよ。今回ハブられてるし。ウルには全然関係ない話ですからね。アレンのオリジン的なストーリーはない方がキャラクター性が保てるのではないかと思うので、できればピエトロ中心で二人の物語を…(口出しオタク)。いや理屈は抜きにしてもめちゃくちゃ知りたいですよピエトロの過去。今回監視者は誰もやりたがらないとか言われちゃったし。す~ごい話の流れで誰も知らないところで殺されちゃうし。DVDにも映らないし(恨みの念)。どうかピエトロに愛の手を…。

 

・臥萬里(木戸邑弥

これ4年前見たかったや~つじゃん。とりあえずキャスパレで再スペノーム衣装はずるいわー。ずるいわー。個人的にはSPECTERを踏まえても死に様に改変はなかったこと、SPECTERとのつながりを言葉にしないことについて、これが臥萬里というキャラクターなのかなぁと納得することにしていたので、今こんなものをお出しされて末満おじさんも考え方変わったのかなとか思ってしまうわけで。姉さんに似て…とかちょっとあざとすぎるかな…。

でも死ぬ瞬間に視線が合うやつ、今後もTRUMP再演とかやるなら取り込んで(残して)ほしいです。手を伸ばすのも好きなんですけどこれ超好き。すごいソフィに刺さったと思うんですよ。焼き付いちゃったでしょ。死に顔が頭から離れなくなりそうです。そしてノームには一抹の救いになったと思う。最高。1億点あげたい。

あと好きなのが「だったらお前もウルをソフィに近づけんな」みたいなやつですね。それけっこうみんな思ってたからな。まあわざわざ言っていただいたおかげでラファエロお兄ちゃんの無力感が際立ってますけど…。いちいちソフィの手を引っ張るのも素直にニヤニヤしました。そうだね甥っ子かわいいね。叔父さんだもんね。叔父さんと言えばこの人もネタバレ回避で星のおじさんとか言われてるの好きです。月のおじさんと星のおじさん。メルヘン。

しかし甥っ子大事なわりにウルには「ソフィに近づくな、ソフィはお前にとって災いになる」っていうのがいい人だなあと。普通逆ですからね。この言い方ひとつでウルに対しても不幸になってほしくないと思っているのが伝わってきて良い。圧倒的善。今回わりと萬里を語る話でもあったので、モリモリ悲しい顔とかしてて嬉しかったです(ごめん)。

 

・グスタフ(郷本直也)&ミケランジェロ鬼頭真也

改変がそんなにないのと月からして安定なのであまり言うことが!ない。実は一回しか観れてないので観察もできてないし。ごめんなさい。しかし月を経て月と同じお二人が演じるグスミケ、やっぱり新たにこもってるものがありましたね。本当に月の翳りが生まれてグスミケに芯?中身?が入ったというか。ちょっとしたかけあいで支え合ってる~!と沸けて楽しい。ラストシーンもダリちゃん注視してしまうのであまり見てられなかったけどいい顔してらっしゃったな。DVDが出たら舐め回したい…ので映ってるカット入れといてください。

 

・ジョルジュ(大久保祥太郎)&モロー(池村匡紀)

ジョルモロかわいそうです…。受けた仕打ちが、というのももちろんそうなんですが、ああいう出会いをしてあんなに慕った「アンジェリコ様」にとって、彼らはひとかけらの救いにもなれなかったのかと思うと。 確かに望んだことのはずだった。自分たちの自由な意志で選んだはずの人生。それがいつの間にか。うまいですよね、TRUMPでいまいち彼らの感情や意志が見えないのもそういうことだったか、となるので。

彼らの自由というのもまた皮肉なものです。結局のところ、所詮はアンジェリコのイニシアチブで与えられた仮初の自由に過ぎず、アンジェリコにはそれを奪うのも思いのままだったわけで。それでも他に命令をしなかったからこそアンジェリコの精神も彼らの自由も尊いものだったのですが、そのこころがダメになってしまえば当然崩壊してしまう。諸行無常ですよ本当に。

 

・クラウス(陳内将

最初のとこにも書きましたけど本当に4年経ってあの場所で陳内クラウスがまた見られるとは…。感慨もひとしおというやつです。片マントがオシャレで好き。お衣装、聖職者っぽさというかTRUMPラストシーンっぽさがあってドキドキしてしまった。あとウィッグですね。明らかにクラウス史上トップクラスの顔隠す感じの。なのにこれがクラウスかってくらい感情豊かなんだからもうなんかもうすごい(語彙)。でもちょっといいですか? なんで人体発火の火力上げてきちゃった感じ? なんか爆発してるよね? なんで?? 再スペでは今までどおりだったやん??

でもほんと感情あふれるクラウスでしたよね。火力もまさかそこに起因しているのだろうか。今後の解明が待たれる。閑話休題。ルルミナへの言及なんかもNU版でも十分あの女!あの女!って感じでしたけど憎しみパワーアップしてるよね…。ダリに話をするくだりなんかもう感情の嵐って感じで。あのシーン大好きです。

そう、クラウスにあれだけ自分のことをはっきり話させたのも新しいですよね。クラウスは最も俳優の解釈・演技に依ってるキャラだと思っていたので驚きでした。そうかクラウスも過去編持ちなんだよなあと。謎が明らかになってしまうというか、正解が盛り込まれるのか。

そしてニコ・ヴラドは彼にとってどうやら大切な人なんだというのがまた驚きで。クラウスにはアレンだけなんだと思っていたものですから。気になるなsacrifice TRUMP…。クラウスはヴラド機関や人間の監視者の存在を全く感知していないのか、というのは長らく疑問だったので、彼のそんな意志で監視されてやっているんだというのは当然の落とし所でありつつも驚きですよ本当に。いや驚いてるの私だけかもしらんけど。そうですよね、クラウスにだって昔は仲間がいたんだから、それを今も大事に思っていたって別に不思議ではないか…。あと新人物気になりますね。クラウスに教師になれと言った人。どのへんで語られる予定なんでしょうか。ワクワク。

 

・ダリ(染谷俊之

あんま染ダリとTRUMPダリつながんないなと思っていた派なので染谷さんに14年後やられてアッハイ…すみません…となった。ダリちゃんはダリちゃんだったというか単純に力任せに殴られた感じがするというか。しかし歳取ってかつての奔放さが失われているのが切ないところです。自由にボケておられるようでいて、もう立場にがんじがらめですからね…。あの出来事を経て二人を育てながら14年経って、結婚して息子できて三十路になっても青臭かった男は変化したんだなあと。

パンフ読んだらなんかポエムに「不器用」とか書いてあってああそっか不器用か…と思ったんですけど不器用だからって子育て失敗していいってもんでもねーぞ! でもまあこう、今回でグランギニョルとTRUMPの間の溝がなんか埋まったような気はしますね。この人不器用だったんだなあ。息子と付き合うの単にヘタクソだったか。もっと本音で愛してるって言ってあげればよかったと思うんだよね…。ラファエロ育てるのに肩肘張りまくってしまった感が悲しい。ウルに対しては…なんかよくわかんないですよね。ウルからの言及が無なので。すごい一方通行家族ですよね、ラファエロ→ダリ→ウル感がすごい。ラファエロはウルについてもいっぱい喋ってるけど。

なんだかんだいい方へいい方へ信じ込みたいタイプなので、グランギニョルからのTRUMPに対してなんでこうなっちゃったかなあとばかり思っていたんですが、COCOONにおけるデリコ描写を見ててあ~普通に子育て失敗しちゃった感じか~!と。めちゃくちゃスッキリしましたね。ダリちゃんも完璧ではなかったんだと受け容れられて個人的にはとてもよかったです。彼らには悪いんですけど。

もうね何も伝わってないからね。愛、伝わってないからね…。善人だろうがどんなに深く愛してようが子育て成功するもんでもないんだなと思うとあまりに世知辛い。現実にはそれなりによくあることだろうとはいえ。それでも本当に未来さえあればやり直せることだってたくさんあったはずなんですよ。しつこいですが。なのに現実は死んだ息子をようやく抱きしめて愛してる、いい友達だった、と言ってやることしかできなかったわけで。もう酷ーンだよほんと酷ーン。

 

パンフレットの感想とか(箇条書き)

・レイン中級議員でビビる。無事に生きててよかったですね…。殺陣もかっこよかったしサプライズで嬉しかったです。サプライズと言えば声の出演勢。え?本人?本人?と思ってキャスト表見たら本人だった。愛加さんわかりやすいですよね。

・春林萬里たちより年下やったんかワレーッ! いやまあ特に萬里なんかは大人になってからハンターになったわけですし春林の出自を鑑みればごく自然なんですがそうなんだ…へえ…となってしまう。というかあれ?と思って動機がない読み返したら萬里よりふたつ年上くらいって書いてあるじゃん。まあ後付はいつものことなのでこっちが正式でいいのかな。まあふたつ年上「くらい」って萬里の主観だしウン…。14年前の時点で春林30石舟32萬里34ですね覚えた。ギニョルではダリたちと同世代だったんですね。死亡時期も明らかにしたんなら何かで描かれると思っていいのかな。Pendulumとかでチラッと触れてほしいですね。歌麿死んでなさそうだし。歌麿もTRUMPまで生きてたらアラフォー?

デリコズナーサリー絶対やって(懇願)。あらすじの時点でシリアスな笑い感がすごいから指令を下すヨハネス卿見たすぎるんだよ。真面目な話ラファアンの幼少期はあったほうが今回のストーリーがよりつらくなりそうだし絶対見たい。

・「犀」は誤字なのか設定変わったのかどっちなんですこれ。動物のサイの字なのであんまり格好つかないような気がするんですが。蘆水は画家の名前(浮世絵師)なのでたぶん誤字かな…。「崔」姓の画家は複数いるっぽいですね。

・「アンジェリコを待ちながら」、まさかのほのぼの小説で驚き。とにかくかわいい。アンジェリコ様がアレンを愛でてた情報あざとすぎるでしょうに。ジョルモロの友情ぶりもすごくいいですよね。こんな頃もあったんだと思うと救われます。

・猫アレンが相関図で「ALLEN THE CAT」って書いてあるのそのまんまでなんかかわいいですよね。「猫のアレン」。何もおかしくはないんですけどなんかオキニ。

 

 

いやここまで約2万字ですよ。なげーわ。読んでいただいた方本当にありがとうございます。陳謝。でもあの2本分の感想なので許してください。私も頑張ったんです(?)

さて、年表を見てみれば新作の予定が増えているわけですが20周年までには完結するんでしょうか。ふとギニョルの感想見たら完結まで生きないとな~と書いていたんですが、同じことを思いますね。まあ私はともかく末満さんがご健康で物語を終えられますように。今回は全然回数観られなかったので早いとこDVDがほしいです。ありがとうございました。