「仮面ライダーアマゾンズ 最後ノ審判」の感想

仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判 オリジナルサウンドトラック

仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判 オリジナルサウンドトラック

 仮面ライダーアマゾンズ、ついに完結しましたね。悠と仁さんの対立という当初の中心軸に立ち返り、物語を完結させた「最後ノ審判」。総体的にはわりと落ち着くところに落ち着いたな、という気がしています。

どうでもいい話ですが初めての4DX体験で相当EXCITEでした(言いたいだけ)。顔に水かけられるの苦手なのでいちいちビクビクしてましたけど。七羽さんいい匂いしたのは笑った。追記からネタバレあり感想です。

 

やはり今作で最も印象に残った部分は悠と仁さん双方のスタンスがブレてしまったことです。理不尽で矛盾した現実を生きるために持つのが一貫したスタンスならば、それさえも崩しにかかってくるのが現実。それでも悠が「生きろ」「生きようとしろ」と人に言うのなら、そういう自らの道を行くことで他人を生かし、また殺したのなら、悠自身も自分の命を捨てようとしてはいけない。そんなことは許されない。

狩るべきものは狩る。守るべきものは守る。かつて悠の選んだ道は言わば究極のエゴイストとしてのそれだったわけで、基準は悠自身の信じる正しさであり、だからこそ自分に筋を通さなければいけないんですよね。最初にこの道を選んだ時点で、何があっても軌道を変えたり戻ったりすることはできなくなった。

しかしムクとの関わりによって悠のスタンスは大きくブレます。人を食べてはいけない、そうなった者は許しておけない。悠は今までそう信じてやってきたのだから、本当はムクがレストランの人間を殺して食った時点で裁かなければいけなかったんじゃないかと思うんですよね。けれど悠はそれをしない。

アマゾン牧場のアマゾンたちは、仁さんとは違う部分で悠の対極にあり、むしろ仁さんよりも強く悠を揺らがせる存在です。命に執着せず、むしろ死を喜びとする彼らは悠の根本にある「みんなを守りたい」「生きてほしい」という願いを無意味にし、悠の独善を浮かび上がらせます。それでも悠はアマゾン牧場のありかたに反対し、彼らに「生きろ」と言ったのだから、あそこでムクを殺せなかったのだと思います。むしろ生きようとしたムクを肯定することで自分の正しさを貫かなければいけなかった。かつて三崎の腕を食ったマモルくんを肯定したように。生きようとすることこそが「正しい」のだから。

そうしてすでにブレてしまった悠は、ムクを食べることで決定的に道を踏み外します。ムクを食べず力尽きることはできたといえばできたのですが、実質的にはない選択肢でした。自ら死を選ぶことは悠にはもう許されないからです。そしてますます戻れなくなっていく。「全てを守りたい」という願いは悠自身を縛り、追い立てるものです。

 

仁さんも似たようなものです。すべてのアマゾンを滅ぼすために、彼は最愛の家族さえも手にかけました。ならば罪がないとかかわいそうだとかいう理由でアマゾンを助けるという選択肢はすでに失われて選べない。すべてのアマゾンは仁さんの子供。自分で始末をつけなければならない。そんな理由でアマゾンを屠ってきたからこそ仁さんは千翼を殺さなければならなかったし、そうやって千翼を殺したのだから、もうどんなアマゾンも救うわけにいかない。

御堂が人間のままだったのかアマゾン化していたのかというのはなんだか判断がつかないところなんですが、話的には人間の方がしっくりきますね。人間を殺した、というのがミソになると思うので。これまで悪人だろうが人間は守る、善人だろうがアマゾンは殺すというスタンスでやってきた仁さんがブレる瞬間。正確にはすでにブレだしていたものが発露したと言っていいかと思いますが。アマゾンを滅ぼすためなら、御堂が人間かアマゾンかなんてもうどうでもよくなっていたと言っていいでしょう。そうして御堂を殺したことで、仁さんはますます戻れなくなる。「アマゾンを滅ぼす」という執着だけが仁さんを動かす。

 

それぞれに自ら設定したタブーを犯し、悠と仁さんは再び衝突します。むしろタブーを犯すことによって、二人の最も核となる部分・対極性がむき出しになったと言えばいいのか。生かしたい者と殺したい者。ふたりともそれを貫こうとしたがゆえに自己矛盾に陥ったのは面白いですね。しかし矛盾を起こしたとしても前に進み続けなければいけない二人は、真逆に行く存在といよいよ真にぶつかった以上どちらかを排除することになる。

生き残ったのは悠でしたが、これはさもありなんという感じ。両方殺すならわかりませんが、どちらかを残すなら悠でしょう。悠は生かす道を進む以上、やはり生きていかければならないのだと思う。彼の道は続き、しかしそこは長い登り坂、というのは露骨でさえあります。

そんな風に矛盾を抱えても前に転がり続けるのがこの世界であり人生だということで、要はその矛盾を飲み込むことが大事なのかな、と思います。殺したくなかったとしても、生きるとは他者の命を食らうこと。何がどう矛盾していても私たちはここにあり生きていて、生きていかなければならない。そういうことなのかなと思いました。やはり基本に立ち返る話だったんでしょうね。

 

 

以下はポツポツと語るところなんですが、美月は収まるところに収まったというか軟着陸した印象です。悠の背中を追いかけ続けた美月は、最終的にはその場で悠を待ちつつ、離れても彼の意志を受け継ぐ。実際悠が戻ってくるかというと戻ってこないんだろうなと思いますが、だからと言って探しに出るとかそういうことはもうしないでしょう。脚の怪我は突っ走りがちだった彼女の重石かな。これもあるいは成長でしょうか。願わくはあの平穏が続いてほしいところです。

 

駆除班はなんかいかにも劇場版っぽいエクストラ的な活躍だったなと。誰も死なないし。いや死ななくてよかったですけど…。ていうかフクさん台詞3つくらいしかなくてめちゃくちゃ笑った。さすが。駆除班も普通に出てくると聞いて、シーズン2終了後の彼らに戦う理由なんてあるのかと思っていたんですが、案外地続きの彼らで安心しました。やはりマモルくんへの想いこそが彼らを動かすんですね。そういう私情の人である駆除班ですが、シーズン2を経てひとつ昇華された感じ。

「もう誰の手も放さない」の台詞は泣けた。あのときマモルくんの手を放してしまったことはどうしても最大の過ちで、留めておけないのなら殺さなければいけなかったんですよね。だからもう同じことは絶対にしない。そう言ってくれて嬉しかったというか。マモルくん個人へ向いていた感情が、もっと大きなものに還元されているのはいいなと思います。三崎くんの義手のくだりとかもそりゃ泣いたよね…。露骨な5円玉アピールすな。マモルくん推しなのでマモルくんの話になると泣きます。

 

会長とか水澤ママ、橘さん、札森くんあたりが変わらないのもなんかゾンズらしいなあと思いました。もうあのへんはああいう人たちだもんね…。レストランでしれっと生き残ってる橘さん、むしろラストより面白すぎてヤバかった。状況が状況ですが悠にまるでシカトされてるし。黒崎さんは少し変わったのかなあ。黒崎さんもまた今回でブレてしまった人だと思うんですが、わりと柔軟に対応しているのが強かで好きです。この人何があっても大丈夫そう。あと個人的にアクションMVP。

 

さて、仮面ライダーアマゾンズ、ここまで楽しませていただきました。ありがとうございました。イマイチ何言ってるのかわからない文章になりましたがこのへんで。時間と相談ですがあと1回くらいは観に行けたらいいな。