ひっつきむし(独断と偏見による)

いろいろ好きでゴメンナサイ

座紀光倫「少年の残響」2巻

少年の残響(2) (シリウスKC)

少年の残響(2) (シリウスKC)

 追記から感想です。

 第2巻は1巻とは少し変わって、よりオムニバス的な様相です。暗殺稼業と歌と集団生活、愛や恋やで人間関係もつれた少年たちの心をザックザクに切り刻んでいく有様は正直めちゃくちゃ好き。撒いた要素を次の話次の話で拾っていく構成も好みです。終わった頃に相関図を描いたらすごいことになってそう。もう設定的にガンスリなのはあんまり気にしないで読んでいこうと思った。みんなかわいい。ペロペロ。

 

第6話「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

まあよくある感じの委員長タイプが悪ガキタイプになんだかんだで恋してしまう健全なお話……なんですが、オチがひどすぎて一周回って笑ってしまった。これは好きなエピソードですね。たしょうモノローグで画面がゴチャゴチャしてるんですが、それだけ丁寧にテオの内面を描いているだけに映える衝撃の結末。しかも読めてただけにかわいそうすぎる。

その後もテオが真実を知らずにいる様子なのは救いなのかどうか。もしくはこれから先知ることになるのか。オチ部分の描写がアッサリしたもんなのも哀れさに拍車がかかってておつらい。カルルとヴァルターが結ばれるのもわかるだけにね…。ヴァルターが惚れてるのは明らかでしたし、カルルもヴァルターをかわいく思ったんですかね。わかる。

 

第7話「Wir waren dabei」

サブタイトルはドイツ語で「私たちはそこにいた」の意。いなくなった人と遺された人を語るお話。フリードリヒが死んでいること、イェンスがその場に居合わせたこと、イェンスがそれを忘れていること。それがすでに明らかになっている上で描かれるアウグストの恋とも知れない感情の顛末。アウグストくん顔が好きです。こういうタレ目くんって悔しい…でも好き…って感じ。こんな大人っぽい子も漏れなくセーラー服半ズボンなのが興奮する。

フリードリヒは間違いなくいい子で、そして寂しい子です。忘れているとはいえイェンスが「優しい人って何考えてるかわからなくてちょっと怖い」とか言い切っちゃってるのが浮かばれない。そんな彼を理解しているだけに最後まで絶対的な距離を詰められなかったのがアウグスト。彼もイェンスのように幼かったなら飛び越えていけたでしょうか。でもそれはそれでいい結末を迎えられたとは思えない。難しいですね。とはいえ終わり方はわりと爽やかで、彼なら歌で忘れなくても時間とともに癒やしていけるだろうなという感じ。

 

第8話「Chocolat

チョコレートってお子さんも大好きなお菓子だけど媚薬だよねみたいな。いかにも少年らしい男の子にサイハイ履かせる直球にエロいミスマッチとザ・茶番。オチの数ページが明らかに気合入りまくっててニヤニヤします。蔑み顔と足の指がフェチい。まあ興奮するシチュエーションですよね。普通に好き。

しかしまあミヒャエルとクリスはまあエッタとジョゼ山だなあ…。クリス先生は闇とかなさそうですけど。というか露骨にリコが縁石の上を歩くくだりなのがヤバい。大丈夫かこれ。

 

第9話・第10話「ma vie en Rose」

「薔薇色の我が人生」ですかね。これはね~普通に好きですね~。あかん感じの子に影響されてあかん感じになった子が調子ぶっこきまくって当然あかん感じになるのいいっすね~。エドガーくん顔がめちゃくちゃにかわいいですし何しろ蠱惑的。ヴィルの方はちょっとブ男寄りなのはお約束か。ラストの演出が暗示的で好きです。

 

第11話「美しき惑いの歳」第12話「The Fall」

少年期、それも少年合唱団なんていうのは有限の極みなわけで、そこから抜け出ていくエピソードも当然にやってきます。こちらはこれまで描かれてきた「死」以外の、少年からの卒業のかたち。少年どうしの一過性のそれでない愛。そういうものが描かれたことには全体の方針として前向きなものを感じますが、この漫画まだ本筋が見えないので(そもそもあんまりないタイプかもしれないけど)どうなることやら。

ニールスくんは黒髪美人。女装子好きなんですかね。お化粧のシーンの丁寧さとフェティッシュさが素晴らしい。あとお尻。落ちるシーンもそうなんですけど、こういう間をとった描写がいいですね。というか落ちるところは特にモノローグ蛇足かな。絵と演出だけで十分伝わるのに言葉で説明しすぎるのがもったいない。少年の頃の儚い美しさの消えた大人の姿はこういう話らしくて良いなと思いました。

 

ここまで周辺を埋めるような話が続いてきたわけですが、次巻は主人公・ミヒャエルのターンなんでしょうか。いよいよ恋が動き出すのか、恋でないと知るのか。何にせよ素直に受け容れられる展開とも思えませんが…。1~2巻の路線が好みだったので、縦軸の話に入るとなるとどうなるのかなーという気持ち。今のところ一番好きなのアウグストくんなんですけど彼はもう出てこなくていいタイプのキャラなのでしれっと卒業していただきたいです。