平尾アウリ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」4巻

追記から感想です。

 

推し武道4巻はちゃむがアイドルフェスに出たりその関係でえんやこらしたりするお話。これまで「ショボい地下アイドル」としてのちゃむはわりと好意的に描かれてきたように思うのですが(距離が近い良さみたいな)、武道館に行きたいのならば今のままではいられない。嫌な奴とだってぶつかる。これは上を目指す物語なのだと厳しめに突きつけるエピソードになっています。

ここにきてようやくしっかり出番の回ってきた感のある文と優佳。フェスに向けて、そして先にあるものを目指して焦りもする文と、「どこでもいい」優佳は対称的です。ここが仲いいのは凸凹ゆえにフィットするものがあるんですかね。文の気持ちはとてもよくわかるし、真面目で好感度が高い。優佳は優佳でバランスのいいキャラだなと思います。おバカで武道館とか別にいいけど場をとにかく明るくしてくれるし、みんなのことが大好きだし、彼女は彼女の理由でちゃんと一生懸命がんばっていてとても眩しい。

以前から描かれてきたれおの弱さや不安もフェスに向けての物語では当然ながら現れてきます。かつては「はじっこ」で、解散を経験して、もう22歳で、ダンスがうまくないれお。それでもちゃむでの彼女はセンターで、みんなのリーダーです。れお周りを見ているとちゃむはいいチームだなと思います。決して完璧ではないけどみんなを引っ張ろう、リーダーでいようと頑張るれおと、そんなれおを大好きで支えてくれる他メンと。れおと言えばくまささんなんですけど、裏ではくまささんでマウント取られそうになってるくらいのれおに「自分はオタクの中のひとり」なんて思っちゃってる彼にはモダりますね。間違いなくくまささんはれおの一番のファンで心の支えだというのに。

眞妃とゆめ莉は横槍を入れられつつも安定感あり。夏未はわりとふつうに嫌なやつなんですけどフォローも入ってるし華麗に当て馬になってくれているのでストレスは薄めですかね。展開的に必要なブースターなのもわかるし。ゆめは自信はない子なんですが、その分お人好しで、妙に強度がある天然ちゃんなのが面白いです。眞妃という彼ピッピもついてますし…と言いたいところなんですが、眞妃の弱さというか人間らしさも見えてきたので、今後ゆめが眞妃を引っ張るような展開が来たらアツいと思う。

舞菜は相変わらずっちゃ相変わらずか。フェス、れお、えりとの絡みで変化の入り口に立ったようなところですね。控えめで大人しい舞菜ですが、もっともっとと求めてほしいのは周囲の誰もが望むことでしょう。舞菜のオタクが少ないのはまあまあえりのせいなんですが、もっとガツガツ行けばそのへんもきっと変わるところもある。主張が弱いのはアイドルとしてに限らずいいことではないですしね。微速だけどえりとの関係も前進しつつあるし(たぶん)舞菜がんばれがんばれ。

空音は今回サブで立ち回る役ですが、この子はやっぱりしっかりしてるなあ。とはいえなにやら不穏な振りもありますが…。しかし「この前よりかわいいな、この前より好きだなって思ってもらえてればずっと一番だよ」は至言かつ名言である。アイドルと恋する女の子のどちらにも響く言葉だと思うんですけど、どちらでもあるのが舞菜だし、やっぱりファン感情って多かれ少なかれ恋なのかも。