「ラストオブアス」の感想

 DL版がセールだったので。超有名なやつですね。おっさんと女の子とゾンビ(超広義)。TPSはなかなかやらないので特に序盤はなかなか進めず、最後までゴリ押し気味だったんですが、私がヘタクソなだけで中級でもけっこう難易度低めなのかな。それこそゴリ押せるし。とはいえDLCまでやってようやく納得行くプレイができるようになった気がします。弓ほんと楽しい。

評価が高いけどなんか賛否両論、みたいな印象だったんですが、実際やってみてこれはいい悪いじゃなくて好き嫌い分かれるだろうなと思いました。システム的にもEDも。戦闘パートと探索パートがはっきり分かれてたり(ステージ制っぽさある)、リスタートが便利すぎたりは緊張感を求める人には不満だろうし、安心感がほしい人やライト層には嬉しいだろうし。それにいわゆる一本道ゲーは嫌う人多いですね。このゲームは特にストーリーやキャラクターの演技重視なので仕方ないと思いますけど。

あとホラゲーって認識だったんですけどそういう方向では全然怖くなかったし、よく見たらジャンルはサバイバルホラーアクションアドベンチャーゲームだった。まとめろよ感はあるんですけど確かに全部盛りでしたね。明るいステージが多いし、人間同士での戦闘もかなり多いしそっちの方が難しいしあんまりホラーではないな。ゴア表現もオフできるみたいだし、何かと極度に苦手な人でなければ余裕そうです。ステルスに緊張はしまくりましたが。

ストーリーの方はやはりあれだけ評価も高いだけあって、期待以上でとても楽しめました。キモは主人公ジョエルとヒロインのエリーの交流にあるわけですが、エリーがまたかわいいというか、どんどん好きにさせてくれるんですよね。昔の世界の名残への子供っぽいリアクションだったり、頑張ってる・気を張ってる感だったり、徐々にジョエルに気を許し、信頼していく様子だったりがどんどん愛おしく思わせてくる。そこがジョエルとシンクロできるので、ジョエル自身の変化や結末に向けての流れも自然に感じられてよかったです。

話の流れ的には旅する中で同行者が交代していくタイプですね。このサブキャラや彼らの物語もとてもよかった。ジョエルとエリーの閉じた関係に終わらず、サブキャラを通して作品世界を表現し、常に二人の間にも変化を与え続けるのでストーリーに広がりがあり、長めの尺ながらマンネリ感がないのが好きです。いろんな意味でお気に入りはデビッド。

 

ダラダラした感じのやつはたたみます。あまりまとまってません。

 

 

まず倫理的なこと。これが大きなテーマとなっている一方、作中ではストレートに「何が正しくて何が悪いのか」的なことは誰も言わないし、案外おおっぴらにハンターが非難されるようなこともありません。これはみんなまっさらではいられないからかもなと思う。綺麗に生きたくても襲撃者を殺したり、必要なものを盗むくらいはしなきゃいけないんですよね。でなければ生きていけない。隔離地域でできるだけ穏便に暮らすならどうかわかりませんが。

略奪者であるハンターたちは確かに悪っぽく描かれていますが、彼らもただ快楽のために殺しているわけではない(この辺の度合いは当然人によってムラがあるけど)。モブハンターの「俺たちは目の前の困難に立ち向かうだけだ」という台詞や、ジョエルを恐れる様子が印象的です。彼らだって必死なんですよね。

やらなきゃやられる世界に適応するには、率先して「やる方」に回り、必要なものを手に入れる選択の方がずっと合理的です。略奪も人肉食もおぞましいけど、何にしたって生きるための選択であることには違いありません。「そうせざるを得なかった」。そんな場面でどんなことでもやって生きるか、やらずに死ぬか。

しかし生きるためならなんでも許されるのか?と言われると、そんなことはないのも事実でしょう。正当防衛ですら殺人行為そのものを完全正当化できるのかと言われるとちょっと微妙だし(法的なことは置いといて気持ち的な話)。ジャッジしづらいというか、気持ちはわかるけどそれって本当にいいのかわかんない、みたいな。

さて、ジョエルは敵に慈悲は全く与えませんし、それどころか拷問までしてしまえます。プロローグの時点でもほぼパニックに陥ることなく感染者を撃ち、他者を切り捨て、トミーを置いて逃げる判断をできる人でした。もちろんサラを失い、荒廃した世界で荒んでいった部分もあるでしょうが、元々そのような性質を持っていたからこそ20年間、そして旅の中でも生き延びてきたものと思います。結局生き残れるのは他人を撃てる人間という身もふたもない話なんでしょうね。

若干脱線してきたような気もしますが、法の秩序を失った世界では人を殺しても罰されません(コミュニティ内ではさておき)。何をしてもいい、ある意味真の自由。つまりどう行動するかはほぼ完全に個人の意思、さじ加減なわけです。これはゲームのデザインにも反映されていると言っていいでしょうか。戦うもよし、できるだけ戦わないもよし。これがすごくいいと思う。エリーが影響されていくっていうのも好き。

そのように法の規制や既存の倫理に縛られることなく行動できる世界では、どうするか、どうしたいかという意思が平和な世界よりも重みを持ちます。エリーとジョエルは途中で旅をやめることもできたんですよね。誰に強制されたわけでもなかったから。ボストンには戻れないとはいえ監視もペナルティもなく、トミーに頼ることもできる。やめることはとても容易で、続けることの方がずっと困難でした。

それでも二人が旅を続けたのはエリー自身の意思と、それを支持したいジョエルの意思があったからです。エリーは、少なくとも途中からは自分が死ぬかもしれない、あるいは死ぬだろうことを理解していました。冗談めかして不安を口にしたり、ソルトレイクではしきりに未来の計画を話したりするエリーがいじらしかったです。死への旅路を「耐えて生き抜け」と歩むってたまらなくつらい。

それでも彼女は旅を続けた。エリーが旅を続けようとした理由は特に語られませんが、ライリーやマーリーン、母親、それにジョエルといった、彼女にとって大切な人の存在が大きく関わっているのは間違いないと思います。大切な人のためになりたい想いがあったんだろうなと。特にいま生きていることが確かなジョエルを助けたかったはずです。

ジョエルもジョエルで、ギリギリまではそんな彼女を支持していました。ジョエルが旅を続けた理由は仕事の都合から成り行きやテスの願いも絡み、最終的にはエリーのため、という感じでしょうか。しかし最後の最後にはエリーの意思を裏切った。ジョエルだってエリーの死の可能性を考えていなかったわけはないでしょう。あの土壇場で行動したのは、マーリーンの話を聞いて自分を抑えられなくなったか、本音に気がついたか。何にしても彼女を守り導いたのも、最後の選択をしたのも、エリーを愛していたからです。

大切な人にできるだけ長く、安全で幸福に生きていてほしい。当たり前の願いだと思います。ジョエルもエリーも、お互いが大切でお互いに生きてほしかった。それを誰が責められるのか。ただお互いを想っていたためにすれ違い、二人の間には致命的な亀裂が入ってしまう。物悲しい終わり方でした。すごくモヤモヤした。素晴らしいという気持ちにはならないんだけど素晴らしいエンディング。

もちろんエリーにだって、ジョエルが自分を愛しているから奪還したのだということは当たり前にわかるんですよね。それでもジョエルはマーリーンを殺し(これは察していると思う)、エリーの気持ちを裏切った。それでも自分を大切に思うから…。そんな割り切れない想いがあるのかなと思います。生きていたことに安堵してしまう罪悪感みたいなものとかもありそう。

ラストオブアス。「us」の意味は人類と、ジョエルとエリーのダブルミーニングなんでしょうか。二人の関係は遅かれ早かれ決裂するか、そうでなくてもよくはならないと予感させられました。それでもエリーを見殺しにすべきだったとはとても言えません。彼女を殺せば本当に人類が救われるのかはさておき、私たちだってジョエルのようにエリーを愛しているから。

 

 

続編が予定されているそうですが、あのエンディングの続きを見るのかと思うとちょっと微妙な気持ちになるのが本当のところですね。あれはあれで終わるのが美じゃないの?っていう。トレーラーも見たけどこれは出来がよくても悪くてもなんで続編作っちゃったのって感情生まれそう。鬱展開っぽいから。でも楽しみですね。早くやりたい。