ひっつきむし(独断と偏見による)

だいたいゲームの感想です

「NieR Music Concert Blu-ray≪人形達ノ記憶≫」の感想

チケットが全公演全席ソールドアウトし、大好評のうちに幕を降ろした「NieR」シリーズのコンサート『人形達ノ記憶』―
映像化を望む多くの声にお応えし、2017年5月5日によみうりホールで開催された千秋楽公演をBlu-rayに収録。

生演奏・生歌による至高のNieR音楽、さらに各公演で内容の異なったNieR:Automataの世界観を表現する朗読劇パートを全公演分収録。
感動のイベントの空気をそのままお届けいたします。

NieR Music Concert Blu-ray ≪人形達ノ記憶≫ NieR Music Concert | SQUARE ENIX

ニーアオートマタの日本ゲーム大賞2017最優秀賞受賞、おめでとうございます! ファンとしてとても嬉しいです。これからの展開にも期待しています!

コンサートは公演から約5ヶ月、長かったような短かったような。ともかく念願のBD発売でございます。実際の公演では台本付きチケットは手に入らなかったのですが(大阪公演に行きました)、今回はバッチリ台本付きバージョンを入手できました。BDの初回特典には、5月5日夜公演「フェアウェル」の上演版台本、台湾公演の台本が収録されています。しかしメニュー画面かPCでの読み込みで全公演の台本を閲覧できるので、どちらかと言うとマストバイではなくコレクターアイテムという感じ。ブックレットにはセトリの他、主要スタッフ陣とキャストからのコメントが載っていますが、若干ネタバレしているので「フェアウェル」初見なら後回しにすべきかと。

また、メニュー画面から朗読劇のシナリオを選択することで各公演を再現することができる仕様です。数曲ごとに朗読劇が挟まる構成でしたが、この朗読劇部分を差し替えて再生できます。台湾公演は楽曲のセトリも一部異なりますが、その辺も完全再現。各公演の上演前・終演後の影ナレまでしっかり入っていますし、映像収録のない朗読劇もゲーム中のノベルパート風に作ってくれています。まさに至れり尽くせり。

影ナレと映像収録のない朗読劇は改めてアフレコしてくれたみたいです。単純に聞きたかったのもありますが、新情報が多すぎたのでちゃんとチェックできて一安心。ネタバレ見て、まさかこれをちゃんと知れないのかと思って絶望してましたもん。こんど「プロメテウスの火」も小説「短イ話」に再収録されるようですし、そういうところをちゃんとしてくれるのはとてもありがたいですね。

 

大阪公演の話なんですが、前回のコンサートには行けなかったので、まず生での演奏・歌を聴けることに涙目になり、実際聴いて・バックの映像を見て感動で泣き、朗読劇が地獄すぎて泣き、泣きすぎてグロッキーになるという有様でした。楽しかったな。アンケートにはドラマCD出してくれって書いておきました。

アレンジでしっとりめになっている曲が多いのはバンドの構成上(ギター・ピアノ・弦楽四重奏・ボーカル+録音)の都合でしょうか。コーラス系の曲は軒並みストリングスに差し替えていたり、打楽器抜きであったり、特に「終ワリノ音」「追悼」なんかはかなり違う雰囲気で、サントラと聴き比べると更に楽しいです(こなみ)。個人的には「砂塵ノ記憶」でギタービビらせまくってるのが面白かっこよくて好き。

カメラワークなど映像の編集も凝った感じで見応えがあります。「双極ノ悪夢」「砂塵ノ記憶」「美シキ歌」あたりの盛り上がる曲が特にかっこいい感じでよいです。元々のバックスクリーンの映像や照明の演出の素晴らしさと相まって雰囲気がすごい。もちろん現場では生だからこその良さがあるんですけど、ブルーレイではこういう風に映像作品としても楽しめるものになっていて楽しい。歌姫の横からのアップなんて客席からじゃ見られませんもんね。このサイドからのライトに照らされる横顔という画がまた半端なく素敵でサイコー。

 

以下は朗読劇のネタバレありで感想です。朗読劇あまり関係ないこともグダグダと。

 

・「繰リ返サレル祈リ」

もうさ~これさ~実際聴きながらマジでつらすぎて途中で我に返り「なんでこんなもん聴かされなきゃならないんだ」とか思ったやつなんですよね~。マジ阿鼻叫喚だよね~。9S何回殺されてんだよ。ツアーの初回からこれはウケるわ(ウケない)。

それにしても単純につらい度というか見てられない度でいうと普通にトップな気がします。悲鳴と泣き声を聞かされまくるのもつらいんですが、何よりストレートな言葉で弱音を吐く2Bがものすごくショックで涙が出ました。彼女はそれまでの媒体では、もちろん苦しみや悲しみを表すことはありましたけど、抽象的な表現だったりして、彼女自身あまり言葉にはしてこなかったから。

「助けて」って、もうそれ以上ないクラスの弱音だと思うんですよね。2Bのつらさとか内心とか、自分なりに想像したつもりでしたけど、いざ本当に「助けて」なんて言われてしまうとつらくて仕方なかった。しかも助けを求める相手が9Sって。どうしようもない、どこにも行けない。そんな閉塞感とか恐怖とか絶望。どこかで弱音なんか吐かない人だと思っていたのかもしれません。でも本当は、そんな風に強くなんかないんですよね。今更ですけど。彼女は頑張ってきたんだなと改めて思います。

 

しかしこのシナリオのタチ悪いところは、淡々とつらい事実を語る2Bと、家族ができたみたいで嬉しいなーとか言っちゃう9Sを口語に喋らせたりするところですよね。でも釣りデートをした事実が判明したりとか、9Sに「特別な感情を抱いている」とかハッキリ言わせてくれたのはありがたいですね。そこめっちゃヒュ~ってなったところ。大切ナモノとか見ても結局9Sから2Bへの感情って単なる恋愛感情というわけではなくて、家族愛と分けられない微妙なもの、でよさそうですね。まあ何にせよとにかくめっちゃ好きってことですよね。いいと思う。ほのぼのデートの思い出を語る口調とか幸せそうすぎてめちゃくちゃ応援したくなります(その後の展開から目を背けながら)

4幕は本当に見ていられなかった。2Bのナレーション部分、いい演技してますよね…。ああいう感情のうねりとか昂ぶりの表現ってこっちまでじっとしていられなくなる。しかし9Sが自殺しつつ「次は必ず殺して」と頼むくだりって資料集の小説「記憶ノ棘」にもありますし、それ以外にも何度か同じようなことあったりしたのかも。同じ人のやることですし。

基本的に9Sが死というか2Bに殺されることを受け容れる理由って「好きだから」だと思うんですね。好きだから殺されてもいいし、殺されるとしても一緒にいたいし、彼女が自分を殺せなくて苦しんでるなら自殺するし、でも自殺するくらいなら大好きな彼女に殺されたいし、ていうかめちゃくちゃつらいけど生まれ直せばまた会えるから最終的にはまあオッケーみたいな理論でたぶん彼は死にに行く。ちょっと人間には命一個しかないので共感はしづらいですけどね…。

 

・「ヨルハ計画」

年表でいうと11937年あたりのヨルハ誕生のくだりですね。しかし衝撃の事実すぎる。あんまりだ…でも因果大好きなオタク的には萌えるっていうか好きだ…。これは正しく仏教用語の輪廻と因果ですよね。生まれ変わって、前世の業が今生に報いるという。

ジニアがヨルハたちを子供や生徒のように愛していたのと同じで、九号だってジニアを親や教師のように慕っていたんだと思います。そんなジニアに裏切られたと思って、九号は爆発してしまった。しかしこれ、9SとA2の件を彷彿とさせますよね…。そういうところだよお前。落ち着けよ。キレるの早いんだよ。ちょっと人の話聞こうよ。まあ九号からしてみればブラックボックスの件も計画の件もショックを受けて当然ではあるんですけど、いずれもジニア自身に悪意があったわけではないし、ましてや計画は破棄しようとしてたのに、本当にひどい。ジニアが何を言ったところでウルサイ言い訳するなってブチギレてるのが目に浮かぶようです。

どこまでも2Bと、他ならぬ9S自身を苦しめた輪廻が(ほぼ)本人のせいだったって考え得る最悪の真相ですよね。二号が九号を殺したことも、九号が二号のことを好きだったっぽいことも含めて、まさに因果と言えるでしょう。二号がラボの外にいたときに作戦を実行したのは、戦闘力の高い彼女を事前に排除する目的もあっただろうけど、地球に降下して生き延びてほしいと思っていたのかも。そして好きだから「君に殺されてよかった」。9Sが初対面で2Bにドキドキしてたことも、ただの一目惚れとかではなくて、もっと運命的なものだったというか必然だったんですよね。あとこの辺のヒャッハーしまくってる花江夏樹いいよね。

でもジニアのパーソナルデータを元にして042が造られたということを考えると、これもまた因果なのかも。彼の愛は今度こそ彼女らを救った。ジニアの花言葉には、長い間花が咲くことから「遠い友を思う」「変わらぬ心」などがあるそうです。なんかイイ話っぽい。

 

・「殺シ合イノ獣」

 A2さんは何回も2Bと9Sを殺したことあるよというお話。内容的には過去編とか長イ話とかぶってるところも多くて目新しいところはあまりない感じ。しかし、このシナリオでは2BがA2を「何もかも諦めたような眼差し」と言っているんですけど、長イ話では同じ場面で逆にA2が2Bを「何かを諦めたような」「私と同じ表情」と評しているんですよね。そしてA2は、そのために2人を殺さなかった。こういうのって好きです。あとこの回影ナレが頭おかしすぎて大好き。ずっとこれが聞きたかったので影ナレ収録には本当に感謝です。

ところで2Bは殺されても(バックアップの効いている限り)記憶が消えたりはしていないってことでいいんですかね。そうなると本編でもA2とお互い知り合いだったってことにはなりますけど、ここの2Bってほぼノーリアクションなので微妙に確証ないんですよね。ノーリアクションこそが証拠とも言えるかもしれませんが。

しかし調子ぶっこきながらA2と戦ってる9Sくん好きである。クソガキ感もさることながら、「クソクソって言い過ぎじゃないですか?」からわずか3分で繰り出される断末魔の「クソオオオオッ!!」のスピード感はもはやギャグ。やり込められ方といいどんな小物キャラなの? それでも実質主人公様か。でもそんなところが好き~! わ~い!

 

・「大切ナモノ」

こちらも本編時空で9Sの補足。2Bの心配して慌てる9Sがかわいいし、2Bのメッセージを心の拠り所にしてる描写とかつらくて泣ける(語彙力)。ゲーム本編の感想でも書きましたけど、「君と過ごした日々は光のような思い出だった」って超光属性の最強の告白だと思ってるんですよ。でもその言葉を杖にして自殺しに行くわけじゃないですか。ちょっとは2Bの気持ち考えてよ9Sくん。彼女は生きてほしいと願ったんだから汲み取ってやってよ。

でも「僕から奪わないでくれ」のくだりとかやっぱり泣くんですよね。なんていうか他者があって初めて自分が明確に存在するわけじゃないですか。9Sにとって2Bはほとんど初めての他者で、彼女の存在こそが彼を真にこの世に生み出したわけで。そして彼女ほどに頼れる存在は他にいないので、依存するのもやむを得ない。いろんな意味でたった一人の存在なんでしょうね。母であり姉であり、戦友であり恋人的な。あと「不安そうに」ってところでそうだよね、不安だったよねと思いました。

 

 

・「嘘」

6Oちゃんかわいい~~~!!!だいすき~~~~!!!!!! なんでこんなにかわいいんでしょうね! 本当に見ていて(というか声聴いてて)幸せになれる女の子です。通信再開してまくし立ててるところとか、心配そうな感じがまたかわいくて。N2の部分もかわいいのにムカつく感じがよい。演技で言うと153もすごかったですね。最後以外は加工してないですよねたぶん。そりゃ呪いたくなるわって感じでした。

内容的にそこまで新規な情報とかはないんですが、バトル描写に力が入っていてとても楽しい。2B対153、手に汗握る展開で聴き応えがあります。あと2Bがクールながらも6Oを大切に思っている感じが出ていて嬉しいし、9Sに対する怯えみたいなものが切ない。憎まれているかもしれない。憎まれて当然のことをしているのだから、いつか罰を受ける。受けて当然だ。そんな風に考えていたんだなあと思うと。

 

 

・「フェアウェル」

台本を先行して全部配ってしまうっていうのはまた太っ腹だなあと思ったんですが、この仕掛けは伝わった人には本当に羨ましい。私もその衝撃受けたかったなあ。最後はハッピーエンドになってほしい派の鬱厨なので、上演版の結末が正史なのでしょうしそれで嬉しいのですが、台本版の結末も物悲しいながらも美しいですよね。これもどこかで音声つけてくれないかなあ。でも彼女たちに幸せな未来がありそうで本当に本当によかった。あとはヨコオがいらんこと言わなければセーフ。ゲーム媒体で続編ありそうですが、直接の続編よりは過去編か年表の最後あたりの超未来がいいな。

しかし上演版はどういう理屈やねんと思わなくもないですし(強いて言えば方舟に乗ったルートと乗らなかったルートの分岐なのでしょうが)、台本版の方が9Sらしく感じるんですよね。彼は自分勝手だし、いつでも2Bを置いていくんですよ。2Bが動けないでいる間に9Sはサッサと動く。自分のやりたいように。そんな彼らしいような気がします。でもこんな終わり方しないでくれて本当によかった。過去のことは水に流してA2も含めて仲良く暮らしてくれますように。

 

 

今後の展開としては舞台「少年ヨルハ」の上演、「ヨルハ」の再演、加えて新規スタッフ募集が発表と、未発表の分もまだありそうですね。アホなパラレルドラマCDは絶対作ってほしい…。

「少年ヨルハ」は年表の「M002」の部分でオール男性キャストかなと妄想しております。「ヨルハ」はオール女性キャストだし。そうなるとしたらぜひキャストの少なくとも半分くらいには半ズボンを履かせてほしい。半ズボンは正義。ショタ万歳。それにその辺だったらちょろっとでも9Sも出てきそうですよね。出るとしたら9Sを演じる俳優って誰になるんでしょう。いやここまで完全に妄想だけどワクワクするなあ。観に行けますように。

とりあえずは来月の「短イ話」ですね。気になってた司令官の件が長イ話で半端に言及されてたので短イ話へのフリだといいな。もちろんエミール推しとしては見逃せませんよ。楽しみだなあ。