ひっつきむし(独断と偏見による)

だいたいゲームの感想です

「NieR : Automata」をクリアしての感想・考察もどき

ニーア オートマタ - PS4

ニーア オートマタ - PS4

 

「これは呪いか。それとも罰か。」

遠い未来。
突如侵略してきた異星人。そして、彼らが繰り出す兵器「機械生命体」。圧倒的戦力の前に、人類は地上を追われ月へと逃げ延びていた。
地球を奪還する為に人類側はアンドロイド兵士による抵抗軍を組織。さらに膠着した状況を打破する為、新型アンドロイドである戦闘用歩兵「ヨルハ」部隊を投入する。
人のいない不毛の地で繰り広げられる機械兵器とアンドロイドの熾烈な戦い。やがてそれは知られざる真実の扉を開けてしまう事となる……

今作は 2010年に発売された「NieR : Gestalt/Replicant」の約8000年後を描く続編。わりとやりこんで60時間程度でEエンドまで見ました。

「前作やってなくてもできる」とのことですし、実際そうだと思いますが、逆に前作をやった人には絶対にやってほしい。特にエミールファン。というか前作の核心のネタバレ設定から資料集・ドラマCDの裏設定までサラッと暴露されるので(ストーリーについてはほぼないけど)、そういうのが気になる人はレプゲシュやってからやるべきです。そもそも宇宙人が襲来するってとこから裏設定バレなんですけどね。あとエミールの名前とビジュアルがセットで出てくるのもまあネタバレっちゃネタバレか。

レプリカントのドラマCDのエミールパート(宇宙人襲来)があまりにもギャグだったので、DOD3の資料集で宇宙人襲来が正史になったらしいこと自体驚きだったんですけど、まさかその設定から続編が生まれるとは。発表されたときはマジで宇宙人襲ってくんのかよwwww横尾本気だったのかよwwwwwwって感じだったんですけど、蓋開けてみりゃ普通に真面目でしたね。ちなみに今回も狂気はたっぷり…というか前作は身内にキチいなかったよなあと今更のように思わせてくれました。本当にありがとうございました。もちろんこの戦いに正義はない系のアレとテンションの下がるオチのクエストは健在です。

引き継がれたものと言えばシューティング要素ですけど、前作以上にシューティングさせられまくりというかちょっとシューティング多すぎじゃないですかね…。アクションは楽しいだけにアクションよりシューティングが有効打になる場面がつらかった。気持ちよく殴らせろよ。2Bのアクションは武器の付け替えのバリエーションやモーションのスタイリッシュっぷりなど満足度が高かったです。好き。モーションは待機中なども色々凝っていますし、ステージのグラフィックや音楽も美しいので放置して眺めているだけでも楽しい。崖っぷちなどに立たせると下を覗き込むのが特にかわいくてお気に入りです。

BGMは前作からさらにパワーアップしてきた感じ。曲数ももちろんですが、1曲1曲の曲調変化がすごかったです。前作でもデボルに近づくとBGMに歌声が乗るなどがありましたが、それを更にバリエーション豊富にしてきた感じ。ボーカルやコーラスのオンオフなど、途切れることなく切り替わるのが気持ちよかった。 前作の曲のアレンジもいくつかあって嬉しかったです。でも本当にバリエーション豊富すぎてサントラにどう収録されるのかもはや少し心配なんですよね、チップチューン版とかちゃんと入れてほしいけど3枚組ってくらいだし大丈夫かな。

以下はキャラクター・ストーリーについてなど。本編と、美術記録集についてもネタバレしてるのでご注意ください。

 

同じストーリーを3周4周するのではなく、3周目と言う名の後半が始まったのは面白かったです。これはいい意味での裏切りですよね。やる側としてはDODから続いてきた周回ゲーの新作だと思ってるのでかなり驚かされた。チャプターセレクト制もかゆいところに手が届く、プレイしやすいシステムで助かりました。ただチャプター飛ぶとフラグ立てがリセットされる部分があるので(エミールのショップとか)、そこはパッチとかで改善されないかなあ。エミールにいちいち話しかけて転送しまくって高速走行狙うのダルかった。エミールショップのランダムっぷりはガチでクソ要素じゃないですかね。エミールにヘイト溜める羽目になると思わなかった。つらい。何がタリラリラ~だよ(涙目)

驚きと言えば 宇宙人が実は他でもない機械生命体によって滅ぼされていた、というのも。いきなりエイリアンシップが出てきてえっえってなってたらアレですもん。一番ビビったポイント多分あそこですね。人類が滅びていたのは言われてみれば、ではあるけど。結局オリジナル・ゲシュタルトはニーアだけだったのか、他のエリアでも事故・事件が起きて…という感じなのか。ある意味一番面白かったのはドラマCDのエミールパートのあらゆる発言と一切矛盾してないことですけどね! 宇宙人のフォルムしなびてていまいちわかんないからいいんですかね…。むしろなめこっぽくてちょっとカワイイのがなんか悔しい。

ストーリー的にはアダムとイヴにもう少し掘り下げがほしかったのと(結局単なる進化した機械生命体ってことでいいのか)、A2の過去はあのままでもいいのでメインストーリーのイベントとしてほしかったですね。うっかりスルーしちゃうと結局こいつ何があって何がしたいの?となるので。あと2Bの伏線はもうちょっとあってよかったんじゃないかと思うし、裏切りのヨルハ・記憶喪失あたりもメインでもよかったんじゃないかと。「お前もわかってたんだろう」とか言われてもわりとエッ?て感じだったんですよね。私がわかってないだけかもしれないけど。

あと個人的な好みとしてはAエンドは首絞めで終わってくれたほうがBエンドでサプライズ感あるし性癖的にもベストですね。首絞めがすごくよかったので一旦そこで終わってほしかった。9Sの手が2Bの腕に伸ばされるんだけど落ちてしまうところが地味に好き。それこそ前作のAエンドBエンドみたいなノリでよかったような。でも2Bのモノローグがよかったし、Aエンドのハッピーさが2周目以降の転がり落ちていく感を演出してるなとも思うので悩ましいですね。あの9Sの手に乗る2Bの画は本当に好き。

Cエンドはビターエンドではありますが綺麗に終わってますし、A2的にはやるべきことを全て終えて仲間のもとへ、という感じなので幸せなんでしょう。メリバってやつか。しかし9Sはあの後どうなったのか…。Cエンド後でもEエンドに繋がり、ヨルハは全員死んだということになりますし、かと言って直後だとも言われていないので不明でいいんですかね。まあいずれは死ぬんでしょうし。自害しててもおかしくないけど。9Sにしたってもう生きる理由ゼロですもんね。ウイルスからは開放されたとはいえ今更2Bの遺志が~とか考えるともイマイチ思えないですし。

Dエンドは酷すぎて花江夏樹すげーと思った(語彙力)。だいたい皆刺されてもサクッと死んでるのになんで9Sだけあんなに苦しまなきゃいけないんだとは思うんですが、断末魔が本当に痛々しくて。悲鳴もそうですが事切れる(というわけでもないけど)寸前の声にならない声とか。首絞めシーンもあるし断末魔が充実した男ですね9Sくんは…。ノベル部分に関してはいろいろ考察入れたい部分。今のところは2Bが「そこにいた」のはウイルスにやられた=機械生命体と繋がったからなのかなと思ってるんだけどどうなんだろう。その考えだと方舟みんないるから同行選択肢を選べばわりとハッピーかもしれない。行かない方が個人的には好みですけど。

Eエンドは言われたとおりハッピーで本当に驚いた。でもどうせ資料集出たらガチでこの後無限ループしまーすwwwとか言うんでしょ!わかってるんだからね!!信じないからな!!!!! でもEDのシューティングはすごく熱かった。泣けた。曲がそもそも盛り上がって泣かせる感じですし、メッセージには励まされてしまいました。最初は自力でやろうと思ってたんですけどどうしても無理で、でも助けてもらってよかった。「自分も助けてもらったんだからそれでも助けたい」っていう気持ちはやっぱり出ますね。でもそれを台無しにしてほしいとも思っちゃう!悔しい!

というかDエンドもそうなんですけど、記憶(魂)というものからのある種の復活を受け容れられるかどうか感がありますね。この辺は資料集でしっかり説明入れてほしい。前作は「涙は流せるのに魂がないなんて」発言もありましたしね。思うにEエンドで言う「記憶」は「同じ結末をくり返すかもしれない」以上、「全て復元した」とか言ってるけどリセットされてんじゃないの?という気もするんですよね。この辺ちょっと曖昧な台詞なので資料集!資料集を早く!!!

で、このDエンドEエンドで言う「記憶」は、思い出がリセットされているのかもしれないことを考えると「自我データ」のことなんじゃないでしょうか。とりあえずアンドロイドは自我データさえバックアップしておけば義体を乗り換えられること、パスカルによるとコアを別の身体に移すと記憶がなくなることを前提にすると、コア/ブラックボックスは精神的にあまり重要でないと考えられます。ただ破壊したら死んでしまうけれど、別に他のものに取っ替えたって生きていける、生き物の心臓のようなものかと。

そうなるとその人をその人たらしめるものは「自我データ」なわけです。これは9Sが何度思い出をリセットされても9Sであるという扱いを考えてもそうでしょう。基本の自我データさえ同じならばそれは同じ人物なんですね。これが面白いのがゲシュタルト計画の発想とまるっきり同じなところなんですよね。その人その人たらしめるもの=魂を抜き取り、別の身体に入れる。つまり自我データは、少なくとも実質魂、人間の魂にあたる、くらいは言えるでしょう。9Sはずっと「輪廻」を繰り返してきたし、Eエンドでは3人が「輪廻」の瞬間を迎えたのだと思う。この辺はもう一回やってもっと煮詰めたいです。答え合わせされるまでは言いたい放題だから! 間違ってたら恥ずかしいね! ほんと資料集楽しみなんですけど、答え出されちゃうんだろうなと思うと考察入れるのいつも以上に恥ずかしい。

しかしアンドロイドを生産し、ヨルハ計画を立てたはずの人類軍総司令部みたいなのが一切出てこなかったというかあまり触れられなかったのが若干モヤッと来るっちゃ来るんですよね。アーカイブなんかを見てるとゲシュタルト計画を引き継いだ誰か(たち)はヨルハはもちろんレジスタンスとも別の存在なんでしょうし。この辺とても気になる。

まだだいたいストーリー1度ずつしか見てないのでいろいろとウロなところはあるんですけど、お話として最終的に言いたいことはただ「無駄だとわかっていてもやらなきゃダメなんだ」「輪廻の中であがくことが生きるという意味なのだ」=「無価値でも叫ぶ」「無意味でも願う」なんでしょうね。たとえ何にもならなくてもあがくことは無意味じゃない、それこそが生きる中で大事なことなのだと。あと自己犠牲精神もわりと大きいですね。このテーマを体現するのが主人公勢と言うよりはポッドたちとプレイヤーなのが面白い。しかし主題歌本当に泣けますよね。Eエンドまで取っておいてほしかったくらいのド直球テーマソングだと思います。大好き。早く音源がほしいです、サントラ待てない…。

 

・2B

 かわいい。ぱんつじゃないから恥ずかしくないけどスカートの中を覗かれると嫌がるあたり、見られたいから脚とか出してんじゃねえよな女子マインドを感じます。性的搾取を許すな(トロフィーを取りながら)。まあスカートは放熱のために履いてるらしいですよ!放熱のためだから!

寡黙でクールっぽいですが、待機モーションは感情豊かだし、そもそも感情を抑えていた節があるので内実はどんな子だったんだろうと思いますね。まあプレゼントについて一蹴したりするあたり若干人の気持ちがわからない感はありますが。その辺察しが悪いんですよね。不器用で、不器用な優しさが好もしく切ない女の子。

本編でも9Sとはクールな先輩と犬属性な後輩って感じでかわいかったですね。だがしかしではありますが。何度も何度も9Sに同じように出会い、同じように殺してきたんだと思うと同情を禁じ得ないんですが、資料集にまた年表が乗るならそういうくだりも詳しく書いてほしいですね。やばそう。ドラマCDでも過去編ほしいですね。ドラマCD出ないかな。ドラマCDまた学パロやってほしい。2Bと9Sが先輩後輩で、A2とは姉妹、6Oとは親友みたいな感じがいいなあ。9Sとアホなラブコメを繰り広げてほしい。

記録集の小説を見ると9Sとはいつも同じように出会って同じ言葉をかけられてきたみたいなんですよね。出会ったとき以外にも。そう考えるとよく正気保ててたなという気もするし、どの9Sにもやっぱり9Sだなと感じていたのかと思うと切ない。何度出会い直しても同じところを見つけてしまう、好きだと感じてしまうってめちゃくちゃ来るものがあります。9Sのことをすごく愛してたんだろうなと思う。疎んだっておかしくないだろうに、「君と過ごした日は私にとって光のような思い出だった」って本当にたまらないです。

9Sのあの有様を見てると「生きてほしい」の一言でもあればよかったんじゃないかと思ったんですけど、今までずっと殺してきたのにそんな身勝手言えない、みたいな気持ちがあったんじゃないでしょうか。最後のメッセージ、言いかけてたのは「私は君に生きてほしい」くらいしか考えつかないんですけど、そうだとしたら言えなかった理由はそれなのかもなと。不器用なりの想いを伝えることが精いっぱいだったんでしょう。「君は私の光(超要約)」って愛の告白すぎませんか。でも生きてほしいっていうの9Sは察したり受け止めてくれないからつらい。Eエンド後は彼女を苦しめた因縁のなくなった世界なわけだし、なんとか9Sと幸せになってほしいです。

 

・9S

真の主人公かな?ってくらい出ずっぱりでしたね。せめて接近戦がもう少しだけ使いやすい仕様だったら助かったんですけど。9Sでエミールと戦わせられるとか拷問かと思った。ハッキングも全然削れないし。でも好きだからいいかな…いいおひざと太ももをありがとう。ショタコン歓喜です。ほんと自爆させると太ももが眩しすぎてヤバかった。字があまり綺麗でないのもかわいい。あと花江夏樹は間違いなく今作のMVPだと思う。かわいい後輩ぶりから狂笑、断末魔まで盛りだくさんすぎて「一生分泣き叫んだ」ってのも納得です。かわいい男の子から始まって心身ガンガンぶっ壊れて惨めな死に方するとこまで見せられて好きにならないわけがない。ありがとうヨコオさん、いいショタです。

個人的には「2Bにお似合いのTシャツとか買ってあげます」が一番かわいい。9Sくんって「自分は男なんだから」みたいな意識がわりとある子だと思うんですけど(2Bを守りたいとかTシャツ買ってあげるとか)、2Bより年下・子供な感じで戦闘力も低いので背伸び感があってかわいいんですよね。ちょっと生意気っぽいところとか澄ました感じもすごく好みでした。それでいて犬属性だからもう盛りすぎてないですかこれは。いろんな要素の詰め込みっぷりとバランスがたまらん。2Bが成人女性のイメージらしいですけど、9Sって靴込みで160なのでたぶん中学生くらいの設定なんじゃないでしょうか。14歳くらいとか。そう考えるとおねショタっぷりが加速して萌えがヤバいですね。ときどきタメ口になるところが最高です。なので後半はすっかり敬語キャラやめてしまったのがちょっと残念でもあり荒みっぷりへの萌えでもあり。エミールに塩対応になるのが面白すぎたけど。

9Sくんはボーッと見てるとかわいそうな子だなと思うんですけど、考えてるとこ、こいつ~!!って感じになってくるから面白い。ていうかキャッチの「儚い優しさと、魂」って言うほど優しくなくない? 優しさ(と魂)が儚かったってことかな? とか半分煽り半分マジくらいで思ってますよ。前半は2Bに懐いてるかわいい後輩感がほぼ全面に出てるのでアレなんですけど、それでも機械生命体ディスりまくりだし。2周目の冒頭とか悪意アリアリすぎてゾッとしましたもん。

基本的に好奇心旺盛で子供らしい性格なんですけど、子供特有の邪悪みたいな部分とか「機械生命体=下等」みたいな思い込みとか、賢さゆえ(たぶん)の小生意気さとかも持ち合わせてるんですよね。あと「自分がやりたいからこうする、自分がこう考えるからこうである、異論は認めないし考えを変える気はない」なタイプで、要は傲慢なんですよ。あまり他人と融和する気がない。と思う。2Bの遺志ですら受け止める気がなく、復讐して死ぬ気満々だったのが恐ろしい。お墓を建てるところは泣けましたけど。PVの「孤独」って、S型としての孤独、後半の孤独、性格面での孤独、なんじゃないかなあ。いやめっちゃディスってるみたいだけど超愛してるよこういうところも。数年来レベルの推し。

あれだけ機械生命体に心なんてあるわけない!言葉なんてわかるわけない!って言ってたんだからブラックボックスの正体にはもっと絶望してほしかったなあ。パスカルたちにはある程度友好的に接してますけど、あれって「例外」扱いだと思うんですよね。そういうやつもいるけど、機械生命体全体がどうってわけじゃないという(事実だけど)。これはパスカル自身ですらそうなので、あまり9Sだけを言うところではないんですけどね。

これだけ言ってアレなんですけど、N2さんサイドからめちゃくちゃ煽られまくってSAN値ダダ下がりだったのは本当に同情します。ほんとあいつなんか9Sに恨みでもあったんですかね。「塔」システムサービス死ぬほどムカつくからすごい。「機械生命体を理解しようとハッキングを頑張ったあなたにプレゼント☆」みたいなやつが特に。あれは9Sじゃなくてもふざけんな!!!!!ってなりますよ。ファイナルワン賞(だったっけ)も煽りすぎにもほどがある。あの手を頬に添えるところ、PVで見たときはさぞ感動シーンなんだろうなと思ったのに実際は2B本人ですらないし、まさかあんなことまでするとは。自己ハッキングの後、冷静に腕の動きを確かめてたのが地味に一番怖かった。

後半の無茶な行動、復讐心はもちろんですが、2Bが死んで自棄になっていた部分はわりとあるんですよね。「僕もすぐに行く」発言をみても、復讐はゆるやかな自殺みたいなものだったんでしょう。だからおしまいには全部どうでもよくなって、痛みでは苦しみましたが、死も受け容れていた。Cエンド後にも生きる意味を見つけられたかどうか。ほんと幸せになってほしい子ですよ。ひたすら2Bとイチャイチャするところが見たいです。CP厨だから。

9Sから2Bへの気持ちって「誰かと一緒にいられて嬉しい」に始まって「殺す相手への不器用な優しさが好き」に至るんですけど、これがすごく好きです。破滅的。相手が自分をいつか殺すことも、それでいて自分を気遣おうとしてくれていること、それを隠しているつもりなことも全部察していてそこが好き、という。かと言って好奇心を抑えようとも手をかけられる前に2Bから逃れようともしないし(記録集の小説ではそれなりに抵抗もしているけど、どちらかと言えば生きたいというよりは知りたい気持ち)、この子本当に頑固というか欲望に忠実だなあ。好き。2Bと9SってE型とS型である以上、暗殺者とターゲットとしてしかまともに関わる機会がおそらくないんですよね。そういう立場がなくなった後に一緒にいられるEエンドって本当にハッピーエンドっぽいんだけどまだ資料集が出るまでは信じられなくてつらい。ヨコオ不信ヤバい。

 

・A2

背面のデザインとお腹がえっち。2Bが彼女に似ているのはA2がプロトタイプだからってことでいいんですかね。髪切ったのは2Bの遺志を継ぐという決意の現れでいいんでしょうか? かっこよくて情の深いツンデレお姉さん、好きです。元々は恥じらう乙女みたいな敬語キャラだったのが色々な意味でたまらないし、根っこの部分は変わっていない感じがベタですがいいですよね。ポッドに最初めちゃくちゃツンケンしてたのに段々馴染んでいって、しまいには「いいやつだな、お前」とか言い出すツンデレ加減ですよ。あと9Sのことを「さっきのやつ」とかじゃなくて「さっきの子」って呼んだのがとてもお姉さんだし優しい感じで好き。

いい人感が出てるのがパスカル関連ですよね。工場あたりではすっかり友達みたいになってるのがたいへんよろしい。2Bにしてもパスカルにしても、楽にしてやることにあまり躊躇がないのがあの過去を経ての彼女の優しさなのかなと思います。特に2Bなんてああしてやるしかなかったですしね。しかし言い訳しないのは彼女の美徳であるとは思うんですが、もうちょっと9Sには弁解してくれた方がよかったのかもしれないなとも。

行動としては自分たちを使い捨てにした司令部に戻る気はないので脱走兵というかたちになっており、仲間の復讐で戦い続けていたところ、2Bと出会って遺志を継ぎ、機械生命体と戦いつつ9Sを追いつつ…という感じですかね。別にそこに難解さはないんですけど、伏線がメインイベントにあるのにその回収がサブでなされるのがやはり痛いというかスルーしてしまうとわけがわからなくなってしまうし実際なったんですよね(無能)。そこさえわかってしまえばシンプルなのでもったいないポイントだと思います。というか実際ちょっと影が薄いというかなんというか。もう少し2Bや9Sに思い入れがある感じの雰囲気出しててもよかったんじゃないですかね。いいキャラしてるだけにもったいない。とりあえず資料集なりDLCなりドラマCDなり彼女の過去編を所望します。

そういえばEエンド思い出リセット説の根拠になりそうなのが、A2の髪型が元に戻っていることなんですよね。もしリセットせずに全てが引き継がれているのなら彼女もショートカットなんじゃないかと思うんですけどそうではない、ということは思い出はリセットされているのではないかと。

 

・ポッド042&153

正直153が9SにA2は2Bを楽にしてやっただけなんやでって言えばよくなかった?あかんの? それも「対処不明」だからわからなかったってことなんですかね。まあその辺知ってもA2への復讐はやめるかもしれないけど「塔」には突貫するんだろうしなんとも言えないんですけど。あと042も153も3機ずつそれぞれ別の場所にいて情報をやりとりしているっていうのがもう少しわかりやすくてもよかったような気も。アーカイブに書いてあったんでしたっけ。うろ覚え。2周目でいきなりポッドたちのシーンが挿入されだして、意味深だったもんでひょっとして実は敵なのかと思った(バカ)次は2機が感情を得ていくさまをちゃんと意識して見届けます。はい。

042は茶目っ気みたいなものもあり、153よりも発達がずっと早い感じですね。153は暴走する9Sとは食い違い続け、しかし最後の最後には作中真理に至る役。どちらかと言えば育っていた心というものに気付かなかっただけなんでしょうかね。9Sに対しては正論をぶつけていただけで、うまく気遣いはできなくても心配する気持ちは全然あったと思いますし、042の「うちらちょっと過保護じゃない?」みたいな発言ってわりと早めですしね。ほんとポッドたちについてはいろいろ見直してみたいところ。

 

・司令官

この人はもうちょっと出番があってよかったんじゃないかと思います。アネモネと役割を統合するくらいの勢いでいいんじゃないだろうか。せっかくA2と因縁があるのにA2が本格登場するのとは入れ替わりに退場してしまうし。オペレーターたちが襲ってくるところのヘタレ感がちょっと好きなので、あのまま一緒に地上に来てくれると私は嬉しかった。実は雑みたいなところとかもさ!もっと見せてくれてもさ!もったいないよ!

謎なのが9Sに真実を教え、そのまま生かしていたところなんですよね。ひとえにタイミングということになるんでしょうか? 突入の直前だったから? 作戦が終わった頃にはやはり9Sを始末させる気だったんでしょうか。お話的な都合だったら冷めるけど…。

 

・6O

かわいい。めちゃくちゃかわいい。大好き。欲を言えばもう少しグイグイ来てくれてもよかったんですけどね。どうしても21Oの方が印象が強くなってしまうし、ストーリー上の存在意義がほぼないので。せめて今後補完がされてほしいところです。しかし女の子~って感じで本当にかわいい。素直で天真爛漫で、プレゼントのクエストなんて喜びようがほんとにキュンとしちゃうんですよね。2Bも珍しく口数が多かったし、ここのコンビはもっともっと推してくれてよかったのになあ。

 

・21O

このツンツンおね大好きすぎる…。9Sとはお互いあの距離感を楽しんでいた感じがしますね。「ハイハイ」「はいは一回」「はーい」のお決まりのやりとり絶対好きだったでしょ、かわいくてたまらんです。語尾を伸ばす必要はないとか。家族に憧れていたというところをみると、やっぱり9Sのことを弟みたいに思っていたんでしょうね。現パロやるならぜひ実の姉弟設定にしてもらいたいものです。B型に改修してもらったのも9Sに関わりがあったりしないかな。ここの動機は説明がほしい。

 

・アダム&イヴ

掘り下げが弱いというか出番が少なくて残念。というかホモォとか言ってごめん…兄弟だったな…。イヴの「イヴって女の名前じゃん」「俺たちどっちかって言うとカインとアベルとかなんじゃないの?」という至極当然のツッコミが好きです。よく言ってくれたな。それみんな思ってたからな。しっかりイヴがアダムの肋から生まれてるっぽいの笑うんですけど、アダムさん「人間はそう簡単に名前を変えないものだ」とか答えになってないし言い訳っぽすぎて最初の男だからアダムって名乗りたかっただけなんじゃないかと思ってしまう。アダムさん弟が女の名前になることを考えてなかった説。でもカインとアベルだとイヴちゃんがアダムさんに殺されることになって縁起悪いので、そのへんは考えてたのかなって気もします。

イヴがすごいにぃちゃんにぃちゃんって感じでかわいいんですけど(そもそもにぃちゃん呼びがあざとい)、1周目からよくもにぃちゃんを殺してくれたな!ゆるさん!って感じで泣きながら襲い掛かってくるのですごく申し訳なかった。ごめんなお前の兄ちゃん殺しちゃって…。でも仕掛けてきたのって100%アダムさんだし、なんというかイヴ戦は不幸な戦いでしたね。アダムはひたすらやりたいことをやって死を学習して死んだということなので特に同情の余地はない気がする。そもそもは不死だったみたいだし。ただメガネをかける経緯が地味に気になるので、アダムさんが人間を学習する経緯は一本SSとかほしいですね。

 

パスカル

途中までめちゃくちゃ疑ってたんだけど普通にいいやつでした。ごめん。ただいいやつなのは間違いないんですけど、自分たちのコミュニティ以外の機械生命体にはわりとドライだし、ネットワークにつながっている機械生命体に対しては全く別の存在として捉えているくらいなのが生々しい。人種差別に似た、しかもそれに何の疑問も抱かないような、そういうものがあるんですよね。まあ確かに決定的な違いがあると言えばそれはあるんですけど、今違っても将来パスカルたちのようにならないとも限らないし、なんだかなあ、という。

記憶を消した後は本当にゾッとしました。「こんなもん何の役に立つんですかね~ハハハ」とか言いながらバラバラになった仲間の死体売りさばいてるのホラーでしょう普通に。子供たちのコアが買えるとか鬼かと。まあある意味一番ビビったの男だったことなんですけど。

 

・デボル&ポポル

理不尽ランキング堂々の1位だと思う。「罪悪感を恒常的に感じるようにプログラムされている」みたいなの本当にひどいじゃないですか。この彼女たちは何もしていないのに、ただ同じ魂の持ち主だから罰を受け続け、償い続けなければならず、そうしなければならないと感じ続けるようにされているなんて。もちろんほぼほぼ同一人物なわけで、この二人があの二人にならなかったことなんて確率の問題でしかないし、彼女らがあの村にいたらきっと同じことをしたんでしょう。でも本当に理不尽で。

デボルさんが寝言で「私たちは悪くない」って言ってるの本当にキちゃってつらいんですよね。助けに来てくれる流れはすごく熱かったし、イニシエノウタがこんなシチュエーションで流れてくれることが嬉しかったんですけど、「私たちの犯した罪を償うんだ」なんて言われてしまうともう。自分たちが悪くないことを頭ではわかっているのに、心では自分たちが悪いんだと感じてしまう、感じさせられてしまっていて、そのために命まで捨てなければならないってどれほどのことか。しかもあれはあれで気持ち的に満足したところがあるんだろうと思うとつらすぎる。

 

 

・エミール

ありがとうございました。本当にその言葉しかない。過去キャラの扱いでこのレベル以上に上手くやることってできないと思うくらい素晴らしかったです。あの一面の月の涙が現れて、カイネ/救済が流れてきて、カイネの家があって、エミールが「大好きな人達と過ごした場所」と言ってくれて、本当に涙が止まらなかった。それだけでも素晴らしかったのにもう一つイベントがあるし、そっちでも泣けて泣けて。

エミールが8000年経って記憶を失っていて、それでも明るく元気でいてくれることを喜ぶべきなのかな、と思っていたんですよね。そういうエミールもいるけど、長い時間の中で壊れてしまう彼もやっぱりいて、なんで自分が、こんな世界守る意味なんてないって言ってしまうことがつらくてまず泣けた。たぶんエミールの中にこういう部分がないわけじゃなかったんですよね。あんなにひどい目にばかり遭って、その上8000年ずっと一人で戦い続けて、恨み言のひとつないほうがおかしい。

でも「無駄だとわかっていてもやらなきゃダメなんだ」「そうですよねカイネさん」と言ってくれるのがやっぱりエミールなんですよね。この台詞ってテーマそのものだし、本筋関係ないのにPVに乗っけてくるあたり大事にされてるなあという感じ。いやほんとエミールがどんなひどい目に遭ってしまうのかと思ってお腹痛かったですけどね…。

で、こういうイベントはあくまでエミールの分身体のことで、オリジナルはどっかでたぶん生きてるけど出さないよ、っていうのが落とし所としてうまいと思うんですよね。もちろん無難なところに置いてきた感はありますが無難でよかったですよ。想像の幅もありますし、実際エミールが本当にどうなったかって知りたくなかったというか答えを出してほしくなかった部分もあるし。本当に最高でした。ニーアとエミールが大好きでよかった。

 

既にたいへん長文になっておりますが、たぶん2回目やってまた何か書くと思います。資料集が出るまでにいろいろと答えを出しておきたい! 楽しかったです、そしてまだまだ楽しみます。ありがとうニーアオートマタ。