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ひっつきむし(独断と偏見による)

いろいろ好きでゴメンナサイ

演劇集団キャラメルボックス「彼女は雨の音がする」

演劇 キャラメルボックス 武田航平

 

18日の「彼は波の音がする」に続いて、20日は「彼女は雨の音がする」の方を観てきました。マジでびっくりしたんですけど、隣に座ってたのが普通に大学の友達だったんですよね。前説の途中でチラッと横見たら友達で死ぬほどビビった。肩つついたら向こうもめちゃくちゃビビってました。超小声で「後で…後で話そう!!」って言われた。お互い隣の客の顔とか見ないもんだよね…。ビビられたことにさらにビビって、しばらく無駄に動悸がおさまりませんでした。ほんと何を示し合わせたわけでもないのに、偶然ってあるもんですよね。回がかぶるだけならまだわかるんですけど。

 

「彼女~」は「彼~」のストーリー、及びその裏側で起きていたことをヒロインの視点で描いたもの。ゲストは武田航平のみ。どちらかだけでも楽しめる、ということにはなっていると思うのですが、やっぱり両方観てみると両方観たほうがいい!という気持ちになってしまいますね。まんまと思惑にアレされてるね(語彙力)。私の感想としては、むしろ「彼女~」の方が好きかも?と思ったんですが、「彼女~」だけでは厳しいというか、アルタイルの存在を補完できないため、ちょっとサイドストーリー的な印象を受けました。「彼~」の方がどちらかだけ観るには向いているでしょう。

少なくとも「彼女~」を単体で観るなら「彼」視点のあらすじを把握するくらいはしておいた方がいいかも。「彼女~」の方だけだと、いろいろと不思議なことがあったけど、あれは一体どういうことだったのか?とどうしても気になってしまうと思います。まあ実際はヒロインの推測というか信じたことはイコール真実なので、謎解き的なものまで期待してしまうと肩透かしかもですが。たぶん「彼~」だけか、両方観るという人が大半だと思うので、「彼女~」を先に観た・単体で観たという人の感想が知りたい…。

 

以下、ネタバレのためたたみます。

 

二つの物語は一組の男女のラブストーリーということではありますが、「彼~」も「彼女~」も、加えてそれぞれ夢、周囲の人との関わりが描かれていました。新宮の芝居であり親友の串本、白浜さんの小説(文章)であり家族・幼馴染。当たり前のことなんですが、新宮にも白浜さんにもそれぞれお互いの知らない背景があり、夢があり、周囲の人々がいるわけなんですよね。「彼~」での岩代も「彼女~」での串本も、もう片方では影が薄めなんですが、言ってみれば知り合いの知り合い的な立ち位置なわけで、あまり関わりがなくて当然。湯浅家なんて「彼~」では出てきませんし。こういうところがリアルというか、世界の広がりを感じて面白いと思います。二人のそれぞれに考えていることや人間関係、やりたいことがある。ひとつのお話なんですが、しっかり二倍以上に楽しめてよかったです。

「彼女~」で好きなのが、全体のほとんどが白浜さんが有田に話して聞かせているという演出ですね。白浜さんだけでなく有田も舞台上に出ずっぱりで、椅子に座って静かに聞いて(見て)いたり、リアクションを取ったり、ツッコんでみたり、ちょっとふざけてみたり。現在の白浜さんと有田の会話と過去の回想を忙しく、でもスムーズに行ったりきたりの、ちょっとメタフィクション的というか。有田は回想の人々に混ざって発声練習をしてみたり、モノマネをした流れから、本当に回想の中でその人を演じさせられたりする。こういうの本当に好みなんです。全体的にアップテンポでハイテンション気味なのも好き。

「彼女~」独自の要素としては白浜さんを取り巻く人々の物語ですね。その中ではみんな何かしらの夢を持っていて、やっと夢を叶えようとしても障害に当たったり、夢のために実際に動こうとするきっかけがなかったり。日出男さんと岩代くんに関しては夢らしい夢は語られませんが、あえて言うなら愛する人の夢を応援していたということになるのかな。愛する人の夢が自分の夢という。

その点岩代くんってマジかわいそう。好きな子の夢を応援したいと思って一生懸命頑張ってたらほとんど知らないうちに失恋してるんだもんな…恋の鞘当てに負けた的な感じならまだしも哀れだわ。白浜さんは岩代くんの気持ちには一切気付いてなかったっぽいですし、新宮にはそんなこと知る由もないし、岩代くんも悪いことは何もしてないし、つまり積極的には誰も悪くないんですけど…。まあ、あえて言うならちゃんとアプローチしてなかったのが敗因だよね岩代くん。幼馴染という関係に甘えてはいけない。もっとガンガン行ってれば脈アリだったと思うよ!ドンマイ!生きろ!でも30くらい?で幼馴染に失恋ってキツそう!頑張れ岩代くん/(^o^)\

でも岩代くんってめちゃくちゃできた人間でいいやつですよね。白浜さんに仕事を持ってくるところから始まり、白浜さんがやらかせば力の限りリカバーしようとするなど白浜さんを見守り助けることに全力を尽くし、白浜さんが夢に近付けば心から喜びまた応援し…。なんでこんな岩代くんが報われないんだ!かわいそうに!もっと頑張っとけよ!!ガツガツいけよ!!!もう!!!! 今までアピールしてなかった理由っていうのはたぶん失恋で傷ついた白浜さんを慮ってのことなのかなと想像してるんですけど、というか白浜さんの心の雨を晴らせなかった時点で負けてたのかもしれないんですけど、もっとガンガン行っていれば…なんかどうにかこうにか…。

ああ新宮と白浜さんの恋物語が素敵な分だけ岩代くんにも同情してしまう! 悲しいけどこれが当て馬好きの業なのよね! 岩代くんってほんと串本と不憫キャラワンツー争えると思う。岩代くんのチャラ男ぶりは演じているというか、それでもって白浜さんへの想いや本音を隠している部分があると思うんですが、ギャグ担当としてはたいへん光っていて好きです。でもあのいいやつぶりからすると、家族間問題に体当たりでボケていくあたりは空気読めなくてやってるのではなく頑張って場を和ませようとしたんでしょうね…粉砕されたけどね…。

 

「彼~」を観た後は串本これからどうするんだろうと思ったんですが、「彼女~」も見ると有田はこれからどうやって生きていくんだと思ってしまいます。「約束したじゃない!」と白浜さんが迫るあたりからめちゃくちゃ泣けたんですけど、有田さんはこれから自分を何者として考えて生きていくんだろうと。考えすぎですかね。有田には有田恒彦としての過去と記憶があって、でも実際魂は新宮なわけで、新宮の生まれ変わりというか、本来の有田と新宮が合体したような状態ですよね。どちらでもあるということは、どちらでもないとも言える。真相を知らなければ普通に有田恒彦として生きていったんでしょうけど、知ってしまった以上有田のアイデンティティは一体どうなってしまうというのか。

有田の言動から考えると「自分は有田恒彦で新宮弘樹は前世」くらいに捉えていくのかもなあという気もします。そして白浜さんにも串本にも、有田に新宮を押し付けないで接してほしい。難しいことかもしれませんが、二度と新宮としての記憶が戻ることはないんですし、有田にもちゃんと有田として生きていってほしい。それはきっと、本物の有田を生かすことにもなるんじゃないかと思います。だから彼の想い=魂を受け継いで生きていってほしいなと。