Patchの「幽悲伝」を観てまいりました。
もう一週間ちょっと過ぎてしまっているので記憶がやや薄れてしまってはいるのですが。
Dステの「夕陽伝」も観には行ったのですが、どちらかというと自分的には幽悲伝の前フリとしての要素が強かったのもあり(直前まで行く気がなくてプレビュー公演に行きました)、こちらには書かず。
比べてみると、タイトルの字面の雰囲気通り、夕陽伝は明るく、幽悲伝は暗いという感じでしょうか。
TRUMPでもそうでしたが、単体でも見られるけど二つのものを比べることで面白さが増すという作り、良いですね。
今回はパンフレット購入でサイン会に参加できるということでしたが、20日昼公演は枚数に限りがあるということもあり、それほど早くも行かなかったのであまり期待はしていなかったのですが、無事に一枚ゲット。
元々海里役・村川くん狙いだったので終演後サクッと列に。
列に人が来るのが遅く、まさかの2番で緊張していたものの、とりあえず良かったです、頑張ってくださいくらいのことは言えましたw
その二言の間、サインを始めず顔を上げて話を聞いてくれて、お礼も言ってくれた村川くんは優しい…惚れる…。
キャストのページにサインをしてもらうのですが、元々彩度が低く雰囲気のある写真の上に金色のペンでのサインはなんだか元々そういうデザインっぽい感じに。
サインしてもらう間は特に話しかけられなかったヘタレも、終わった後は無事にお礼を伝え退出。緊張した!
それと、今回は新メンバー・4期生の4人がアンケート配布、物販の列整理などをしてくれてました。
アンケートを渡してくれた納谷健くん(ストプレとうらぶおめでとう)がすごくしっかり目を見ながらありがとうございます!と言ってくれて、もう喪女は挙動不審でしたよ。ちょっとドキドキした。
それまで4期生はちょっと写真を見てフーンと思っていたくらいだったのにw
終演後、次回公演のチケットを買うために列に並んでいたのですが、その間物販の方は人がほとんどいなくなり、暇になったのかなぜかターンし始める納谷くん。謎。あざとい。
東京でしか会えない人に比べたらまだ距離の近い彼らですが、仕切られているとはいえその辺で普通に喋っているというのがなんだか面白かったです。私が観劇初心者だからだろうか。
チケット販売ブースには井上くんと中山くんがいたんですが、私が辿り着く頃には夜公演の準備かいなくなってしまってました。残念。
とりあえず磯兵衛はその場で千秋楽のチケットを取り、その後ぴあで初日もゲット。
楽は指定で取ったのでいいようなものの、初日までガチの前列で正直戸惑ってはいるのですが。指定で買った人に申し訳ないというか…。
あと平日夜の回に一次抽選で申し込んだのがいけなかったんだろうけど、やけに端っこだしもうちょっと見やすい席で観たかったw
さすがに3回は行かない、とは思うんだけどちょっと迷ってます。
追記から幽悲伝メインで夕陽伝のネタバレもありな感想。
元々末満さんのTwitterで夕陽伝より30分ほど長いこと、結末が異なることは知っていたのですが、やっぱりというか演出が違えば全然違うものなんですね。
陰と陽のユウヒデン、どちらかと言えば幽悲伝の方が好みかな。
夕陽伝のギャグなんかはやり過ぎ感も含めて好きは好きなんですが。
衣装は夕陽伝はありものしか使わない、幽悲伝は一から作るというコンセプトだそう。
夕陽伝は特に真多羅なんかメタルなお兄ちゃんだったり、みんなスニーカーやブーツ履きだったりとほとんど洋装なのに雰囲気が出ていて好きですし、
幽悲伝は合わせて作ったということで統一感もあり、ぴったりマッチしていて良いですね。クマソ組の赤がとても好き。
舞台美術は夕陽伝ではスクリーンが使われていましたが、幽悲伝では扉があったり鳥居が立ててあったり。
二階部分、けっこうな高さがあったかと思うのですが、因幡というか杞山くんが殺陣の途中でガッツリ飛び降りていて驚きました。
その後の倒れて苦しんでいる演技がまさかガチじゃないだろうなと思うほどの高さと距離のジャンプ。受け身はしっかり取っていましたが、怪我がなかったようで何よりです。
あとTwitterやアナウンスでかなりしっかりと通路を空けておくようにと注意がありはしたのですが、何度も通路を駆け抜け、秒数的にも長めに通路でのお芝居があったので通路側が羨ましかった!
違いからして言えば、まずは幽悲伝のみのキャラクター・因幡でしょうか。演者は小道具も担当の杞山くん。
因幡はクマソの王子・真多羅の従者で、幼い頃から彼に仕えているという設定。
夕陽伝では真多羅と毘流古のタッグで、程度と質の違いはあれ頭のおかしい同士だったのですが、ここに常識がある人間を突っ込んだだけですごく人間関係に面白さが増した感じ。
もちろん夕陽伝とは真多羅と毘流古自体違うのですが、夕陽伝の二人に因幡を足してもすごく面白いと思うというか、因幡がいることによって真多羅は夕陽伝と違う、というか。
夕陽伝の真多羅は孤独です。毘流古は彼を見透かすけど、理解者ではなく支配者なのです。
毘流古は彼を支配しようとし、彼はそれに逆らえない。直接的な繋がり。
対して幽悲伝の真多羅には因幡がいる。因幡は彼を理解してくれるし、彼も因幡には柔らかく接する。
なのに真多羅は因幡を見ません。
因幡はあんなに真多羅を慕って、彼のためなら何でもする気持ちがあるのに、真多羅は因幡の好意を理解し受け止めているとは思えない。
因幡の意見を受け容れて兄たちを討とうとするのではなく、毘流古に頼る。この因幡の片想いたるや。
毘流古が夕陽伝よりも支配者的な気質の薄いのに対し、真多羅はより彼を求める感じになっていると思います。
因幡は真摯さ、一途さがすごく伝わってきて、下手しい一番好きになってしまったかもしれない。かわいそうなキャラ好きですしw
黙って真多羅の横に控えているようなシーンも多いのですが、そういった箇所での振る舞いが良い。
例えば雨の中の場面では、真多羅の方に傘を傾けたり、戦う真多羅を黙って見守ったり、収まったらサッと傘を差し掛けたり。
物語の中で決定的な何かをするという人物ではないけれど、その分すごく感情が大事な役だと思います。
杞山くんすごく良かった。とりあえずTwitterはフォローしておいた。
幽悲伝での三津谷くん演ずる毘流古は、夕陽伝の池岡くんの毘流古より人間くさいイメージ。
池岡毘流古はマジモンのバケモノ的な雰囲気があってヒール中のヒール。怖くて凄まじくて圧倒されるけど、後から可哀想な奴なんだな、という気持ちになりました。
三津谷毘流古はより直接的に悲哀を感じさせるキャラクターでしょうか。見ていて普通に哀れになった。
幽悲伝で兄弟関係・親子関係が中心で、毘流古自身のエピソードに焦点が当てられていたのもあり、彼は命の意味を得ようともがく人なんだなとはっきり感じました。
正直言って、夕陽伝では毘流古と海里・都月の兄弟設定、名前でモロバレな上にいらなくね?とか思っていたので、前フリも足されていたしそこに関しては幽悲伝の方が良かったかな。
関係ないけど三津谷くんは身体の柔らかさと筋力がすごいですねw
殺陣とかパカパカ前後に股割りしながら話すシーンとかめちゃくちゃ感心してしまった。
三好くんの真多羅は、夕陽伝の鈴木真多羅よりも正気っぽい。
夕陽伝の真多羅はイカれちゃってるようなところが大いにあるんですが、幽悲伝では狂気度は薄く(狂ってはいるけど)、わりと苦悩の人なのかな。夕陽伝よりもものは考えてると思うw
ここはやっぱり因幡効果もあると思うんですよね。キチガイしかいないか普通のやつもいるかだったらそりゃね。
しかしその分、毘流古への依存度も浮き彫りになっているという。
夕陽伝の記憶が薄れていて若干なんとも言えない部分があるのですが、都月との絡みはわりと違いましたかね。
どちらかと言うとやっぱり幽悲伝の真多羅は理性的なところがあり、そこが出ていたかなと。
因幡ともどもアッサリな退場だったのが残念。
役者の話になるのですが、三好くん、ビジュアル的にも声質的にも悪役が似合う似合う。
結婚式のシーンでは貫禄たっぷりだった真多羅が、最後の方は哀れな感じになっていく落差が良かったです。
でも公式で爬虫類顔呼ばわりはやめたげて!
都月の松井くんはご本人のイメージとは全く逆の役どころということですが、そんなものは全然感じない好演。
都月の劣等感や葛藤、感情の爆発、ひとつひとつをしっかり感じさせてくれました。
そんなわけでアンケートに全く脈絡もなく松井くんの演技がよかったですとか書いてしまった。
DVDが出たら一番見直したいの松井くんですよ。当日もガッツリ双眼鏡で追ってたけど。
都月は夕陽伝のように陽向と共に彼岸に消えるのではなく、海里との乱闘の果てに自害するという結末でした。
途中からああこれ絶対自殺する、自殺すると思ってたんですが案の定で溜息w
夕陽伝ではメリバ的な雰囲気ですが、どちらにしても海里に歪んだ形で勝利する(した気分になる)ということには変わりはないかな。
自殺ってずるいんですよね、相手を一方的に傷つけることができて、二度と仕返しされることはないんですから。
海里の受け止め方から見れば大して勝ててないのが可哀想ですが。傷としては残るだろうけどあれではね。
陽向に関しても、夕陽伝では拒絶の言葉をもらえていただけマシでしたね…スルーされちゃってかわいそうに。
ほんと都月って何かしても狙い通りに海里を傷つけることもできず、陽向にも一ミリも振り向いてもらえずで。
死体が残る死に方をしたことで、海里の「海に昇る月に~」の台詞が直接都月を見つめながら発せられるものになっていたのが印象的です。
村川くんの海里は、瀬戸くんの海里に比べて元気なやんちゃ坊主感はなくて、飄々としている分ナチュラルクズっぽさが出る感じ。
気持ちが変わるまでの海里って言ってしまえば気持ちはわかるけど無責任でしかないんですよね。
夢はでっかいけど明確なビジョンもないし。そりゃ都月もキレるしバカ王子呼ばわりもやむなしですよ。
そこをしっかり出しつつ、後半の変化に繋げていかなくてはいけない海里なんですが、気持ちの変遷を重ねたラストの大王として立つシーンでは決意と威厳が出ていて格好良かったです。
海里というキャラクターの動き自体にはそこまで大きな違いはなかったですかね。
何しろほんと夕陽伝が一ヶ月前だわ何も書き留めてないわで、何を書くにしてもいまいち自信がw
「陽向を斬ってくれ」と頼まれるシーンで、イエスともノーとも断言せず「陽向に会いに行く」としか言わないのですが、それによって海里の性格を表現しつつ、雰囲気ではちゃんとやるだろうなと伝わるようなところが好きです。
海里の従者、出雲役は竹下くん。やたら眉毛をいじられていたせいで、もう最近竹下くんを見ると眉毛にしか目が行きません。つらい。
夕陽伝では荒井くんが演じ、敬語キャラだった出雲ですが、幽悲伝ではタメ口だったり、しっかり身分と立場が示されたり。
出雲はどちらにしても海里とは友人ではあるものの、幽悲伝ではより気安さを出しつつ主と臣下のどうしようもない距離も見せる感じ。
両海里のキャラクターも相まってどちらかと言えば荒井出雲はお兄ちゃん感があるのですが、竹下出雲は同い年くらいの友達っぽいですね。
竹下出雲はすごく海里が大好きな感じがして、黄泉から帰ってきた海里と再会するところや、クライマックスの海里VS都月を見守る(見ているしかない)ところがお気に入りです。
富士丸は井上くん、陸奥は吉本くん。この兄弟、すごくラブラブで好きです。かわいい。
でもここの仲が良ければ良いほど海里と都月を見て悲しい気持ちになってしまうという…。
体感では夕陽伝よりも陸奥がアホだったような気がする。
夕陽伝ではわりと頭が同レベルだった二人(富士丸はちゃんとお兄ちゃんしてたけど)、幽悲伝ではわりと富士丸>陸奥なような。
富士丸は特に海里を諭す役どころですが、この兄弟の素朴さ・誠実さがしっかり出ていたおかげで説得力があって良かったです。
実は夕陽伝の結末(のノリ)がなんとなく肌に合わなくて、お、おう…という感じだったんですが、こっちではえらいあっさり死んだー!と思ったらあの結末でびっくりです。本当にびっくりしたw
これから海里とはまた距離が離れてしまうかもしれないけど、気持ちでは末永くお友達でいてほしいですね。
陽向はオールメールということで、男性の田淵さん。しかしかわいかった!
小芝陽向は死んで蘇ってからの印象が強いのですが、幽悲伝ではウェイトも印象も死ぬ前の方が大きいような。
個人的には黄泉で海里と話すシーンが好きだったりします。
夕陽伝では死んで蘇り、生きている間のしがらみから開放された陽向の爆発、幽悲伝では蘇ってからは「黄泉人」としての陽向というか。
幽悲伝では演出的にもそのまんま幽鬼のような感じがしました。
夕陽伝ではわりと死んでからノリノリで、毘流古ともコンビ感があるのですが、幽悲伝ではそれほど二人が絡まなかったり。
黄泉人は白いヒラヒラのたくさんついた衣装ですが、これだいぶ取れやすいのか、舞台の上に落ちているのがチラホラw
松井くんがこれを拾って剣に巻く、みたいなアドリブもあったそうですが、キャストが演技中に踏んだり蹴ったり(避けられても困るけど)、殺陣の合間に拾ったりしていたのがちょっと素で気になってしまった。
猿美弥は中山くん。ヒゲを生やしていることもあってオッサン感がすごかったです。良い意味で。
逆に自然すぎて終わってからすごいオッサンぶりだったな!と思ったくらい。
遠藤猿美弥は綺麗なおじさまって感じだったけど、中山猿美弥はオッサン。完全に子持ち。
出雲との絡みなんかで人に注意するようなシーンも増えていたせいか、もう本当にオッサン。
猿美弥の見せ場はやっぱり凪大王に脱出を迫るシーンや海里に陽向のことを頼むシーン、そしてラストでしょうか。
猿美弥は立場的にもあまり感情を表に出しすぎてはいけないと思うのですが、それでいて演じる上では伝えないといけない。
もちろん表に出すようなところもあるけど、完全に崩壊してしまうような人ではないと思います。
いずれにしても胸に迫るものがあって、SPECTERのときと比べても中山くんめっちゃいいなと。
唯一の演技経験者である中山くんを他のメンバーと同列に語るのもおかしいのかもなという気もしますけどね。
凪大王は中川浩三さん。そしてやっぱりこのキャラと言えば毘流古との絡み。
陽向中心っぽかった夕陽伝とは違い、兄弟関係・親子関係を中心に持ってきた幽悲伝ではより目立っていたかなと。
諸々の追加シーンも相まって、この人自身が何を考えているのかがわかりやすくなっていたような気がします。
「なすべきことをなせ」というのは呪いなんですよね。
陰と陽の二作ですが、とはいえ意外にもこの台詞に関してはむしろ幽悲伝の方が前向きだったような気がしなくもない。
猿美弥との会話で、この人の「次代につなぐ」という意識が明らかになったからでしょうか。
夕陽伝に比べて、より人間臭さ、息子たちへの愛情が出ていたかなと思います。
演出家の違う同一の舞台を観るという経験は全く初めてだったので、いろいろと楽しめました。
次はとりあえずPatch関連ではフォアコンへの参加を予定しています。納谷くんが気になるんだ…。